メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

[14]ネット的な笑いの時代は来るのか

『PERFECT HUMAN』がウケた理由

太田省一 社会学者

 前回、お笑いコンビ・オリエンタルラジオ(オリラジ)の藤森慎吾による「あ 動画です」が評判になっている話をした。その後もテレビで共演する田原俊彦とのバージョンなど、相変わらずシリーズとして続いているようだ。

『PERFECT HUMAN』『PERFECT HUMAN』(オリエンタルラジオ公式チャンネル/YouTubeより)
 だがオリラジでそれ以上にいま爆発的な人気となっているのが、この動画のなかで田原俊彦も言っている『PERFECT HUMAN』である。

 オリラジが率いるダンス&ボーカルユニット・RADIO FISHのこの楽曲、2015年12月の『爆笑問題の検索ちゃん 芸人ちゃんネタ祭りスペシャル!』(テレビ朝日系)、2016年2月の『ENGEIグランドスラム』(フジテレビ系)などで披露されたのを機に俄然注目され、iTunes総合チャートで1位を獲得した。

 作詞は藤森によるもの、3月には『ミュージックステーション』に出演して大きな反響を呼び、YouTubeで公開されたミュージックビデオもすでに再生回数2600万回を超えるなど、今年有数のヒット曲になりそうな勢いだ。

ツッコミがない変則性

 ただ、いま「ヒット曲」と書いたが、実はそう単純な話でもない。

 例えば、『ENGEIグランドスラム』は音楽番組ではなくお笑いのネタ番組である。だが『PERFECT HUMAN』のオリラジの二人は、歌やラップ、ダンスのパフォーマーにしか見えない。

 披露後のネットなどでの反応も、そのダンスのキレや曲の完成度を絶賛する声が多数上がる一方で、「これはお笑いなのか?」という困惑する声もあった。

 とりわけ同じ芸人の目からするとそうだったようで、そのとき番組MCだったナインティナインも「何してんねん」「わかったからもう帰れ」などと曲の途中からツッコミを入れ始めていた。ネタ番組としては、珍しい光景である。

 おそらくポイントはここにある。

 裏を返せば、『PERFECT HUMAN』にはツッコミがない。ところが、

・・・ログインして読む
(残り:約2231文字/本文:約3120文字)