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[3]HIS炎上、誤った謝罪で再燃を招く者たち

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 前々回および前回に引き続き、「空飛ぶキャバクラ」として大きな批判にあった「HIS×東大美女図鑑」キャンペーン問題について見て行きたいと思います。

[1]HIS炎上は社会的責任意識の欠如が原因だ
[2]HIS炎上、メディアがもたらす炎上再生産 

 前々回は、性差別の概念の解説と企業の社会的責任について論じ、前回は企画のリスクやメディアの影響について論じました。

 ですが、とても疑問に感じるのは、なぜこのような企画が通ってしまうのか、ということです。

 報道によると、HISは批判が生じることに対して多少の認識はしていたものの、問題の無い範囲内だとしてゴーサインを出したとのこと。2016年になってもなお、このような企画が問題の無い範囲だと認識してしまう大企業が存在することが信じられません。

 さらには、今回のように性差別的な広告等で企業が炎上するケースは、決して初めてではありません。たとえばここ1年あまりを振り返っただけでも、駿台予備校、ルミネ、明星食品、ブレンディなどの例があげられます。

「不快にさせた」は謝罪か?

 でも、なぜこのような性差別に絡む企業の炎上は繰り返されるのでしょうか? なぜ、学習しないのでしょうか? 

HISは「皆様にご不快な思いを感じさせる内容でありましたことを深くお詫びし、取りやめることに致します」という謝罪文HISの謝罪文=ホームページより
 それは、たとえ炎上が起こったとしても、多くの担当者が「性差別とは何か」という本質的な部分を理解しようとしていないからだと考えられます。

 それを如実に表しているのが謝罪文です。

 今回、HISは「皆様にご不快な思いを感じさせる内容でありましたことを深くお詫びし、取りやめることに致します」という謝罪文を即日出しました。

 ですが、「不快な思いをさせて申し訳ございません」というのは、謝罪をしているようで謝罪ではありません。

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