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ぼっち観戦20余年、「カープおじさん」の喜び

ガラガラだった神宮球場を思い出しつつ……

井上威朗 「クーリエ・ジャポン」編集長

 こんにちは。クーリエ・ジャポンというウェブ雑誌の編集長をしている井上威朗と申します。このクーリエ・ジャポン、要するにここWEBRONZAのライバルサイトみたいなところです。

広島カープの試合を観戦し、勝利に喜び合うファンたカープおじさんたちは連日元気
 そのライバルサイトのオッサンが何でここに書いているかというと、別に宣伝をしに来たわけではありません。

 2016年の広島カープが異常に好調なので、一ファンとしてその「恍惚と不安」を記録しておけ、という依頼をうけた次第です。

 なるほど、ここで浮かれたことを書かせておいて、あとで悲惨なことになったら晒し者にして笑おうというわけか……と、さっそく長年にわたって染み付いたネガティブ思考も浮かびましたが、国際報道メディアらしい自分のところでは、どう逆立ちしてもカープの記事など書けるわけもありません。

 ということで、ありがたいお誘いにホイホイ乗って、ここに来てしまいました。まことにすみません。

いやな現場にばかり立ち会って

 そんな私は前田智徳(以下、選手の敬称略)と同い年の立派な中年です。ガキの頃はカープも強かったので、何も考えずファンになった手合いです。

 思春期特有のあれな時期に離れようかとも思ったのですが、広島県の実家で法事なんかあると、一杯やった大人たちが「あれ観るかぁ」みたいな感じでビデオのある家に集まり、NHK「江夏の21球」の録画をみんなで強制鑑賞です。もうカープとか卒業ッス、なんて言える度胸もなく、ズルズルと抜け出せなくなってしまいました。

 東京で漫画編集者になってからは、カープが趣味ですといっても気持ち悪がられるし、球場に付き合ってくれる友達もいないし、特にいいことはありませんでした。年の半分はひとりで球場に通っているので、単に付き合いの悪い変人編集者ができあがっただけです。

 というか、前田智徳は2回もアキレス腱をいわす(傷める)し、メイクドラマとかいうひどい出来事もあったし、いいことどころか悪いことだらけです。

 さらに球場でも、いやな現場にばかり立ち会ってきたような気がします。

 阪神タイガースが

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