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高畑裕太逮捕で噴出する6つのセカンドレイプ

性暴力について何を言ったらいけないのか?

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 2016年8月、俳優の高畑裕太容疑者が強姦致傷事件を起こしたことが発覚して、大きな波紋を呼びました。さらに、ハフィントンポスト日本版のエントリー「高畑容疑者関連の報道、マスコミのセカンドレイプ助長がひどすぎる」でも触れましたが、その報道のあり方をめぐって、様々な二次的な問題が起こっています。

会見で頭を下げる高畑淳子さん=26日午前9時1分、東京都千代田区20160826高畑裕太容疑者の母親・高畑淳子さんの謝罪会見も話題に=2016年8月26日、東京都千代田区
 問題はもちろん報道側だけではなく、それを受ける側にも多々発生しています。特に「セカンドレイプ」は最も大きな問題の一つと言えるでしょう。

 セカンドレイプとは、性的二次加害のことであり、辞書では「レイプなどの性的暴行を受けた者に対して、第三者が、性被害の苦痛を思い出させるような言葉を投げたり、被害を受けた原因の一端が被害者自身にもあったというような中傷めいた発言をしたりして、精神的な苦痛を与えること」と説明されています(※新語時事用語辞典)。

 実際、高畑容疑者のニュースについて語る人々の中でも、セカンドレイプ発言が噴出してしまっているように思うのです。

 確かに、若手二世俳優の強姦致傷事件という前代未聞のニュースに世論がざわめき立つのも分かりますが、性暴力が許されるべきではないのと同様に、セカンドレイプも決して許されるべきではありません。

 セカンドレイプは被害者本人を傷付けるだけではなく、それを聞いた同様の被害に遭った人も傷付く恐れがありますから、誰に対しても言ってはいけないものです。さらに、セカンドレイプを怖れる被害者が被害を訴え出ないことや、訴えを取り下げることにも繋がるため、加害行為に加担するものという見方もできるのです。

 そもそもセカンドレイプはいったいどういうケースが該当するのでしょうか? もちろん何となく意味を掴んでいる人も多いとは思うのですが、「では実際に何を言ったらいけないのか?」についてまだピンと来ない人も多いのではないでしょうか?

 昔は何がセクハラに該当するか分からなかった人も多かったように、概念が広がっていない段階ではそう感じる人がいるのも当然だと思います。セカンドレイプ発言をしている人の中には、まさか自分がしているとは思ってもいない人も多いでしょう。

 そこで今回は高畑容疑者の事件を追いかけながら、セカンドレイプのケースについて紹介したいと思います。セカンドレイプと言っても種類は様々ですので、ここでは6つのタイプに分けさせて頂きました(※なお、これは学術的な分類ではなく、起こっている現象をもとに筆者が独自に分類したものです)。

(1)暴力性・悪質性の否定

 俳優の高畑裕太という芸能人が加害者だったという特異性もあって、「芸能人相手なんて、されたほうも嬉しかったんじゃないの!?」と発言する人がいましたが、

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