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転落防止へ、点字ブロックとホームドアの課題

点字ブロックに必要な配置の見直し。ホームドアは“最後の切札”

岸田法眼 レイルウェイ・ライター

*訂正 2月3日配信時点で「誘導」と「警告」の語が入れ違っておりましたので、2月6日に修正しました。

内方線つき点状ブロックに効果なし?

 2016年8月以降、東京メトロ銀座線・青山一丁目駅、近鉄大阪線・河内国分駅、JR東日本・京浜東北線蕨駅で、視覚障害者がホームから転落し、轢死(れきし)する事故が発生した。事故後、私は首都圏で発生した2駅に行ってみたが、前者は警備員、後者は駅員をそれぞれホームに配備し、再発防止に努めていた。

駅のホームに設置された「内方線」(右側)の入った点字ブロック=JR西日本提供「点状ブロック」と「内方線」(右側)の入った点字ブロック=提供・JR西日本
 3駅の事故で私が注目したのは、「ホームドアがない」ことではなく、「点字ブロック」だ。

 点字ブロックは、移動の方向を示す線状突起の「誘導ブロック(線状ブロック)」、注意喚起及び警告をうながす点状突起の「警告ブロック(点状ブロック)」の2種類がある。

 以前、ホームの内側は警告ブロックのみ敷かれていたが、視覚障害者が方向を見失うと、ホームの内側と外側の区別がつかず、誤って転落する危険性があった。

 そのため、国土交通省は2011年、各鉄道事業者に下記を要請した。

・1日の利用客1万人以上の駅については、ホームの内側に線状突起を加えた内方線つき点状ブロックを可能な限りすみやかに進める。
・1日の利用客10万人以上の駅については、ホームドアもしくは内方線つき点状ブロックを優先して、すみやかに進める。

 「内方線つき点状ブロック」というのは、警告ブロックの片端に誘導ブロック1本を組み合わせたもので、視覚障害者が後者を踏むことで、線路のある方向を認識しやすくするものである。

 事故が発生した3駅のうち、河内国分駅を除き、内方線つき点状ブロックは整備されていた(同駅は2017年度整備予定)。しかし、それでも事故が起こってしまった。

内方線つき点状ブロックの見直しを

 国土交通省は青山一丁目駅の事故を重く見て、「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」を立ち上げ、2016年12月22日に中間とりまとめ案を発表した。それによると、1日の利用客10万人以上の駅について、整備条件を満たしている場合は2020年度までホームドアを設置させるなど、早急に進める方針を示した。なお、ホームドアについては後述する。

点字ブロックの上に駅の柱があるホーム。東京視覚障害者協会の田中章治さんは柱をよけて線路側を歩いた=18日午後5時22分、東京都港区の東京メトロ青山一丁目駅点字ブロックの上に柱があるホーム=東京メトロの青山一丁目駅
 一方、内方線つき点状ブロックについても、1日の利用客1万人以上の駅については2018年度までに整備させるほか、3000人以上の駅でも可能な限りすみやかに整備させる方針をとった。蛇足ながら、関東鉄道常総線新守谷駅など、1日の利用客3000人前後でも整備済みの駅がある。

 ただ、整備するにしても、実際に事故が3件も起こってしまったのだから、どれほどの効果があるのか。それを検証すべく、いくつかの駅のホームを歩いてみた。

 まず、点字ブロックを踏むと、誘導ブロック、警告ブロックの違いは目を閉じてでもわかる。ただ、試しに目を閉じて数メートル歩いた

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