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高輪ゲートウェイと虎ノ門ヒルズ、新駅名の明暗

岸田法眼 レイルウェイ・ライター

新駅の駅名を発表するJR東日本の深沢祐二社長JR東日本の深澤祐二社長自ら発表した「高輪ゲートウェイ」の駅名には、反対する署名活動まで始まった

 時代が平成に変わってからだろうか、「漢字+カナ」、「かな+カナ」といった駅が増えている。例えば、JR東日本武蔵野線の「越谷レイクタウン」駅、両毛線の「あしかがフラワーパーク」駅は、同名の住宅地・商業施設とテーマパークから名づけられ、その玄関口として親しみやすい。しかし、最近発表された東京都港区2つの新駅発表は明暗が分かれた。

しっくりこない駅名と、しっくりくる駅名

 2018年12月4日、JR東日本の深澤祐二社長が東海道本線(山手線・京浜東北線)田町―品川間に建設中(2020年開業)の駅名を「高輪ゲートウェイ」(所在地は東京都港区港南)にすると発表した。社長自ら新駅を発表するのは大変珍しい。

 しかし、この駅名が物議を醸している。6月に新駅では異例の公募を行ない、第1位の高輪、第2位の芝浦、第3位の芝浜ではなく、第130位の駅名を選出したことでも、人々の反感を買ったのだ。「高輪のどこにゲートウェイがあるの?」と首をひねった方も多いだろう。

 ゲートウェイは英語で「玄関口」という。同社2018年9月25日付のプレスリリースで、「グローバル ゲートウェイ 品川」と銘打っており、“出来レース”と疑う人もいるようだ。

 そして、漫画家の能町みね子さんがchange.orgというサイトで、「『高輪ゲートウェイ』という駅名を撤回してください」と署名活動を立ち上げ、大きな反響を呼び、1月3日時点で4万6000人以上の署名を集めた。

 私は、高輪、芝浦、芝浜のいずれかを選択すべきだったと思う。投票数が多く、シンプルなほうがわかりやすくて親しみやすいからだ。声を大にして異論を唱える人々が多い以上、再考を検討すべきであろう。開業後に駅名改称をされると、莫大な費用がかかるのだから。

 参考までにJR東日本は公募第1位を不採用にするケースが多く、たびたび物議を醸してきた。同社は過去、国鉄分割民営化に伴い「国電」に代わる名称を募集し、第20位の「E電」に決定したが、ほとんど浸透しなかった(現在でも同社のプレスリリースには使われることがある)。

 また、2002年、東北新幹線盛岡―八戸間の延伸開業に伴い、停車駅の少ない“速達〈やまびこ〉”に代わる最速列車を公募したところ、第19位の〈はやて〉を採用(第1位は〈みちのく〉)。その後、最高速度320km/hを誇るE5系のデビューに伴い、“〈はやて〉より速い列車”を公募したところ、第7位の〈はやぶさ〉を採用(第1位は〈はつかり〉)。結局、〈はやて〉は中途半端な存在となってしまった。

 「高輪ゲートウェイ」が公表された翌日、東京メトロは日比谷線霞ケ関―神谷町間に建設中の新駅を「虎ノ門ヒルズ駅」(所在地は東京都港区虎ノ門1丁目)にすると発表した。こちらは大々的な会見を行なわず、プレスリリースのみ。“虎ノ門ヒルズの玄関口”にふさわしい名称でわかりやすい。加えて銀座線「虎ノ門駅」の乗換駅になることで、利便性がさらに向上される。

虎ノ門ヒルズ駅の駅名看板=東京メトロ提供虎ノ門ヒルズ駅の駅名看板=東京メトロ提供

 両駅とも2020年に種をまくような形で暫定開業する予定だ。その後は駅周辺の再開発が進められる。将来は“新しい街の玄関口”として、大輪の花を咲かせることだろう。

新駅の気になる点

 先述の高輪ゲートウェイ駅の発表会見で、気になることがあった。深澤社長が駅名看板のフリップを掲げた際、“わかりやすさ”を目的とした駅ナンバリングが欠けていたのだ。

 この駅に停車するのは「山手線」と「京浜東北線」の列車で、「東海道線」の列車は通過する。両隣の駅ナンバリングを調べたところ、田町は山手線がJY-27、京浜東北線はJK-22、品川は山手線がJY-25、京浜東北線はJK-20。したがって、高輪ゲートウェイは山手線がJY-26、京浜東北線はJK-21のはずだ。

 京浜東北線に関しては、日中時間帯に快速が走っており、この駅に停車するのか、通過するのかは不明である。快速運転は

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