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嵐は記者の自慢ゴコロを巧みに突くクレバーな集団

青木るえか エッセイスト

2020までかけぬけてネ」と書かれた絵馬=滋賀県栗東市の大野神社嵐のメンバー大野智さんと同性のことからファンに人気の大野神社では、「2020までかけぬけてネ」などと書かれた絵馬が掛けられていた=滋賀県栗東市

 嵐の活動休止でワイドショー見てると嵐のこと悪く言うひとがいない。記者会見で「無責任では?」と発言した記者が叩かれてるが、この発言すら櫻井くんの「あの質問をいただいたおかげで(自分たちの気持ちをよりくわしく温度をのせて述べることができた)」というコメントで「嵐の好感度さらにアップ」の材料になった感じすらある。

 ところであの「無責任では?」発言だけど、聞いた瞬間すごく、「うわー、なんかよく聞く論理」と思った。原宿あたりに行って、嵐が活動休止するって聞いたら何人か「えー、無責任じゃないですかぁー?」って言いそうだ。「アタシが好きなのにぃーやめるなんてずるいー」みたいな。そういう思考回路の人ってぜったいいる。まあ中学生ぐらいだろうけど。だから記者が会見で堂々と言ったのに驚いたわけだが、ある種の人のニーズは満たしたと思う。そして「嵐すごい」のさらなる箔づけの材料にもなったので、良かったのかもしれない。

大阪・ミナミの道頓堀に掲げられている二宮和也さんが写った広告。ファンだという女性が写真を撮って橋を渡っていった=2019年1月27日、大阪市中央区大阪・道頓堀に掲げられている嵐の二宮和也さんが写った広告。撮影する女性ファンの姿も

「嵐はイイ人たち」という話ばかり

 それにしても、ほんとに嵐はイイ人たちらしい。『とくダネ!』見てたら、小倉智昭は嵐の面々とカラオケに行って、ふつうスターってカラオケで自分の歌は歌わないもんなのに彼らは自分らの曲を歌って踊る、ってスタジオが湧いていた。いい話らしい。

 他にも、ワイドショーでは彼らがいかにイイ人で親切でスターぶらないかって話が溢れた。休止発表の会見は終始立ったままでやったとか。小雨の中で会見があった時、会見終わった瞬間に、小雨の中に置かれた記者たちのICレコーダーを心配して拾ってくれたとか、まるで裸足の子供たちが遊ぶ地面のガラスの破片を拾ったペスタロッチ(「近代教育の父」みたいな偉人)のような美談だ。コンサートが終わって、関係者が先に客席を出る時に、その行列に向かってステージ上から挨拶してくれたとかいって感激しているのを見ると、芸能記者はちょろいねえと思うばかりである。

 でも、そんなことすらやらない、頭の高い芸能人が多くていろいろ辛酸をなめてるのかと思うと、嵐の好感度がアップするのもわかる気はする。ただ、私が

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