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JR東日本四季劇場と御園座、新劇場と街づくり

ペリー荻野 時代劇研究家

新劇場の幕開けは「アナ雪」から

工事中の劇場内.工事中の「JR東日本四季劇場」内=撮影・筆者
 9月14日の会見で、2020年、東京・竹芝にオープンする劇団四季の新劇場「JR東日本四季劇場」の「春」「秋」のうち、「春」のオープニング作品が「アナと雪の女王」と発表された。今から楽しみにしているファンも多いことと思う。

 「アナ雪」といえば、14年にディズニー映画版が日本でも一大ブームを巻き起こし、全世界のアニメーション映画興行収入歴代1位を記録。18年にブロードウェイで舞台化された人気作である。新劇場の幕開けにはぴったりの華やかな作品といえる。

 思えば、1998年、劇団四季にとって首都圏初の常設劇場として開場した旧劇場の「春」は、2017年に閉館するまで「ライオンキング」1作の超ロングランを続けた。一方、「秋」は、「ミュージカル李香蘭」「ユタと不思議な仲間たち」などを上演。開演前には、浜松町駅から劇場に向かう人たちの列ができていたものだ。

 私は雑誌の企画でこどもたちと「ライオンキング」の舞台裏探検をしたり、浜松町駅前の文化放送で番組に出た後、何度も観劇しに行った。東京では珍しい豪雪の日、局から足をズボズボ埋めながら歩いて、やっとたどり着いたとき、満員の観客が何事もなかったかのように着席していて驚いたこともある。

竹芝は新ウォーターフロント

 新劇場オープンであのにぎわいが戻ってくる。しかし、雰囲気はかなり変化しそうだ。

 実はこの会見は、JR東日本グループによる竹芝ウォーターフロント開発計画についてのものだった。計画名はズバリ「WATERS takeshiba」。計画によれば、このエリアに新劇場の入るシアター棟と大型商業施設「アトレ竹芝」、ラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」、オフィスが入るタワー棟、パーキング、水辺には誰もがくつろげる広場を設けるという。

2020年、東京・竹芝にオープンする「JR東日本四季劇場」のイメージ=劇団四季提供 2020年7月、東京・竹芝にオープンする「JR東日本四季劇場」のイメージ=劇団四季提供

 正直、竹芝がウォーターフロント?という気がしないでもなかった。会見で配布された資料の関係者の言葉の中にも、ここに海があることは忘れられていたとある。しかし、劇場の目の前は東京湾。竹芝ふ頭もすぐだ。今後、このエリアから浜離宮恩賜庭園の緑、海につながるロケーションの魅力は見直され、人気を集めることになるだろう。

=撮影・筆者工事中のビルからの景色=撮影・筆者

 この会見で改めて感じたのは、劇場と街づくりの関係である。

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