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コロナ禍を機に、GWや国民の祝日は廃止すべきだ

“密”を生み出す“病原習慣”をやめる時代へ

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 新型コロナウイルス感染拡大対策として外出自粛が叫ばれる中、一部の観光地では、観光客が減らないことが問題になっています。4月19日は神奈川県の鵠沼海岸周辺、4月25日は大分県の別府駅や松山市の松山城城山公園が、それぞれコロナ禍の始まる前より人出が増加したというニュースが伝えられました。

 個々の地域は報道により減少する可能性が高くなるでしょうが、全体としては、政府が目標とした「接触80%減」には、まだ届かない状況が続いています。

「海岸への立ち入りはお控えください」と記された看板を掲げる神奈川県の黒岩祐治知事。県が近く、湘南地区の海岸周辺に掲出する=2020年4月22日午後2時15分、神奈川県庁20200422「海岸への立ち入りはお控えください」と記された看板を掲げる神奈川県の黒岩祐治知事=2020年4月22日

平日のほうがリスクは高そうだが

 このような報道に対して、「休日ばかり問題視されているが、平日の職場や通勤電車のほうが接触機会は多いのでは」という意見もあります。通勤する人はかなり減ったものの、一部の職場や電車ではソーシャル・ディスタンスを確保できない状態がいまだに続いているようです。

 それに比べると、確かに広々とした屋外の観光地で過ごすほうが、相対的にリスクは高くないように感じます。「三密(密閉・密集・密接)」という政府の(手緩い!)基準に該当する機会も少ないから大丈夫だろう、と判断する人がいるのも無理はありません。最近は、「自粛無視」として出かける人に対して“粛清”を望む罵詈雑言がネット上で飛び交っていますが、さすがにやり過ぎです。

 一方で、休日には行動範囲が格段に広くなるという点に注意が必要なのは事実でしょう。とりわけ、都心に住む無症状の感染者が、まだ感染の広がっていない地方に出向くと、地元の感染を拡大させかねないのは既に指摘されている通りです。

GWに感染拡大をさせないために

 そんな折、4月29日から本格的にゴールデンウィーク(GW)が始まり、外出をしたいと考える人がいるのは間違いありません。沖縄県の玉城デニー知事は「大型連休に沖縄へ来る予定の方が航空会社の予約によると6万人余いる」と明かし、懸念を表明しました。緊急事態宣言から1カ月近くが経ち、自粛疲れになるタイミングでもあります。

 また、以前の記事(「コロナ対策小ぶり小出しの安倍政権下で禍を鎮める唯一の希望」でも指摘しましたが、冒頭のような報道によって「え、ずるい! 真面目に自粛しているのに! だったら俺もレジャー行くし!」という、さらなる「フリーライダー」(自分は外出制限せずとも、皆がすることで得られる感染拡大防止の恩恵にあずかるタダ乗り)が噴出する可能性もおおいにあります。

 このような動きを事前に警戒して、閉鎖を決める観光地も続出しています。高速道路料金は、GW期間中の休日割引の適用除外が決定しました。お花畑に人が集まるのを避けるため、植えた草花を刈り取る作業に追われるところも少なくないようです。

刈り取られたチューリップ。残った畑の花(左上)も22日になくなった=茨城県稲敷市浮島、市提供 20200422刈り取られたチューリップ。残った畑の花(左上)もその後なくなった=2020年4月22日、茨城県稲敷市浮島、市提供

安倍首相の新造語「オンライン帰省」が酷い

 その一方で、安倍首相は4月22日の会見で「オンライン帰省」という概念を提唱しました。帰省の代わりにオンラインで実家の両親等と会話をしようという提案です。ただし、これに対しては疑問を持たざるを得ません。インターネット上では、ただのテレビ電話だと突っ込まれていました。そもそも実家がそのようなツールを日常的に使いこなせているのなら、わざわざGWの時期に使う必要はありません。

 新型コロナウイルス対応の改正特措法が施行された翌日の3月15日に、安倍昭恵氏が大分県の神社を参拝したことについて、夫の安倍首相は「参拝以外は特に観光などは行っていない」「神社の参拝は密閉ではない」と発言しました。軽率な行動だと認めなかったわけですから、地方へ出かけるのを控えようという呼びかけに説得力はありません。

 指導者は模範となるべき人間です。生活実態を反映していない造語で提唱するよりも、まずは自身が過去の見解の過ちを認めてしっかりと反省の言葉を述べることが、国民へ伝わる最適なメッセージになると思います。

このコロナ禍を機にGW自体を廃止に

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