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NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUN、2000年代以降のジャニーズ

太田省一 社会学者

 前回は、嵐がデビューしてから国民的人気を獲得するまでのプロセス、そしてその背景にあるジャニーズの大衆化について述べた。今回からは、一つひとつに詳しくふれることはできないが、2000年代以降メジャーデビューしたジャニーズグループをみていく。そのうち今回は、NEWS、関ジャニ∞、KAT-TUNの3グループについて述べてみたい。

実験的グループとしてのNEWS

 嵐以降も、「Jr.黄金期」のJr.がメンバーに入ったグループのメジャーデビューがあった。

 NEWSは、2003年に9人組でCDデビュー。中心となっていたのは山下智久で、そこにすでに関ジャニ8(後に関ジャニ∞に改名)として活動していた錦戸亮など関西からも2名が加わる構成になっていた。また後にロックバンド、ONE OK ROCKのボーカル・TAKAとして有名になる森内貴寛もいた。

 デビューはジャニーズにとって定番化しつつあった「バレーボールワールドカップ」のイメージソング。ただその楽曲「NEWSニッポン」(2003年発売)は、大手コンビニチェーンでの独占販売というかたちがとられ、通常のCDショップなどでは取り扱われなかった。関東と関西のメンバーが混在している点もそうだが、NEWSはジャニーズにおける実験的な要素を感じさせるグループである。

 その難しさもあったのかはわからないが、山下智久と錦戸亮の脱退などがあり、2011年からは小山慶一郎、加藤シゲアキ、増田貴久、手越祐也の4人で活動を続けた。

 増田と手越はそれぞれの特技やキャラクターを生かしてバラエティやドラマなどで活躍し、また「テゴマス」として2人のユニットでの歌手活動もあった(ただし、手越は2020年にジャニーズ事務所を退所)。

 小山と加藤は、“知性派ジャニーズ”とも言うべき立ち位置での活躍が目立つ。小山は『news every.』(日本テレビ系)でキャスターを務め、加藤は小説家として執筆活動を続けている。また2人がメインで世の中の諸問題について自ら取材し、考える異色の社会派バラエティ『NEWSな2人』(TBSテレビ系、2016年放送開始)もある。

 このあたりは、ジャニーズでも高学歴化が進んでいることと無関係ではないだろう。嵐の櫻井翔などもそうだが、さらに最近はSnow Manの阿部亮平のように大学院に進学し、難関とされる気象予報士の資格も取るようなケースも出てきた。そのことが、ジャニーズ全体の活動の幅を広げる要因にもなっている。

関ジャニ∞の多面性

 嵐、NEWSと並び、「Jr.黄金期」から生まれたグループと言えるのが、関ジャニ∞である。彼らは、きわめて多面的な魅力を備えたグループだ。

 関ジャニ∞は、関西ジャニーズJr.から2004年にCDデビュー。現在は横山裕、村上信五、丸山隆平、安田章大、大倉忠義の5人だが、当初のメンバーは8人。もちろん全員が関西地方の出身であり、滝沢秀明と並び称された渋谷すばるをはじめ、「Jr.黄金期」をそれぞれに経験したメンバーであった。

ジャニーズ事務所=東京都港区ジャニーズ事務所=東京都港区

 デビュー曲は「浪花いろは節」。タイトル通り、ラップが入るなど今風の要素がありつつも演歌テイストの入った楽曲である。美空ひばりの楽曲を一部使用した「お祭り忍者」で1990年にデビューした忍者もいたように、歌謡曲をリスペクトした楽曲づくりはジャニーズのひとつの伝統だが、やはりジャニーズのなかで異色のデビュー曲であることには変わりない。

 一方で、Jr.時代を含めて

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