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(この期に及んで)石破茂氏をはじめ自民議員は会食をなぜやめられないのか

会食マンの菅首相が会食クラスターを抑止できるとは思えない

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

 自民党が会食を止めません。昨年12月には菅首相や二階幹事長らが会食を行っていたことが判明しましたが、1都3県に緊急事態宣言が発出された1月8日の夜にも、石破茂元幹事長が博多で同僚議員ら9人で会食していたことを週刊文春が報じ、批判が巻き起こりました。

 感染拡大を防止するために会食を控えるよう国民に再三要請している立場であるにもかかわらず、自らそれと矛盾した感染リスクの高い行動を取り続けていることに、自粛している国民が怒りを覚えるのは当然です。模範となって国民を導くという能力が著しく欠如していると言えるでしょう。

大人数での会食が報じられた石破茂氏大人数での“ふぐ会食”が報じられた石破茂氏

問題行動の張本人である議員に規制は使いこなせない

 それにもかかわらず、政府与党は特別措置法の改正で、都道府県知事の命令に従わない店舗等に罰則を加えることを検討しているようです。前回の記事「コロナ罰則を設ければ感染者はむしろ増えるかもしれない 」では、補償が十分ではないのに罰則を加えるのは言語道断であるばかりではなく、「ルールに従わない飲食店叩き」では感染拡大防止の効果は十分に得られないだろうという話を書きました。

 もし、規制を設けるのであれば、「集まらない」「会話しない」「飛沫を拡散させない」という感染対策を徹底させる仕組みでなければならないはずです。既に罰則を設けている国の多くは、店舗と客の双方はもちろん、私的な集まり等も規制の対象としています。

 ところが日本の場合は、国会議員自身が「集まり」「会話し」「飛沫を拡散させている」張本人であるため、そのような行動に対する規制を敷くことができないのだと思います。自分たちが捕まってしまいますから。やらなきゃいけないことをできない人たちが政治をつかさどっているのは、悲劇としか言いようがありません。

なぜ政治家は会食にこだわり続けるのか?

会見で自身の会食について謝罪する菅義偉首相=2020年12月25日午後6時3分、首相官邸、20201225“ステーキ会食”について謝罪する菅義偉首相=2020年12月25日

 でも、なぜ彼らはこれほどまでに会食にこだわり続けるのでしょうか? なぜ、きっぱりと「やめる」という選択肢が無いのでしょうか? なぜ、単独で飲食店に行くという発想がないのでしょうか?

 2020年11月に「静かなマスク会食」という“概念”を菅首相がぶち上げた時にも「いやいや、そんな意味不明なことしないで、普通に会食自体をやめればいいじゃない!」と批判が起こりましたが、彼らの会食に対する固執は異常と言うほかありません。

 1月14日放送の「とくダネ!」(フジテレビ系)で、政治ジャーナリストの田崎史郎氏は、「自民党っていうか、政界には会食文化っていうか会食を通じて人間関係を深めていく文化がある」と語っていました。確かに、そのような文化風習的な側面もあるのでしょう。

 ですが、単なる文化に留まらず、「会食文化」を守ることが、彼らにとって有利に働く面があるからこそ、やめられないのではないでしょうか。つまり、彼らにとって会食は「既得権益を維持・強化するのに非常に有効な手段」だからだと思うのです。

 たとえば、日本の政治家は、

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