野党はまず自分たちの組織を改革してロールモデルになろう
2021年11月19日
選挙の投票率が低いのは、国の衰退によって強まっている「政治的学習性無力感」が大きな要因である。前回の記事『学習性無力感が日本の衰退で強まり、低い投票率と野党伸び悩みを招いている』では、そのような話をしました。
学習性無力感が日本の衰退で強まり、低い投票率と野党伸び悩みを招いている
つまり、学校や職場等、人生の様々な場面で、議論を通じて組織の意思決定に参画するという経験を得にくい日本社会では、「社会は変わるんだ」「自分たちで変えられるんだ」という意識が持ちにくい。そこに、近年の国家衰退や人口減少が拍車をかけているため、政治に不満を持ちながらも投票を棄権するという仮説です。
これを受けて今回は、有権者の政治的学習性無力感をどのようにすれば解消できるか、とりわけ野党が野党という立場のままでもできる解決策を考えたいと思います。
まず、野党自ら有権者に「政治的学習性無力感」を与えてしまう行動は、絶対に避けなければなりません。社会と彼らを変えようと思うのなら、まずは自分たちが変わってみせる必要があるのです。しかし、残念ながら「党の内部が変わっていない」と感じることがいくつかあります。
たとえば、ジェンダーの問題が典型例でしょう。野党の多くは、自民党・公明党よりも女性候補者の擁立に積極的に取り組んでいるのは確かであるものの、改革スピードは遅く、「男性がメインの組織」を払拭できていません。
党幹部や国政選挙の候補者にクオータ制を導入した社民党を除くと「パリテ(男女半々)」にはほど遠く、立憲民主党の代表選でも、マスメディアで名前が取りざたされたのは、当初から男性ばかりでした(※女性候補がいないという批判の声が上がったのち、ようやく西村智奈美氏が立候補を表明しました)。
「組織内ジェンダー平等」を実現できていない政党がいくら社会のジェンダー平等を叫んでも、有権者が「この政党が政権を担えば変わるんだ!」という実感が持てないのも当然ではないでしょうか。
また、“公約違反”のようなことをする国会議員が絶えないのも問題です。旧立憲民主党以来の離党者・除籍者を振り返ると、青山雅幸氏(セクハラ問題で離党)、初鹿明博氏(強制わいせつ問題で離党)、高井崇志氏(緊急事態宣言中のセクシーキャバクラ通いで除籍処分)、本多平直氏(「14歳と50歳の性交発言」で離党)等、ジェンダー関連の問題を起こして離党した議員が非常に多く目立ちます。
総選挙で立候補を予定していた新人も、「JKを視姦」「幼女誘拐の才能がある」など、性犯罪的な内容をつづった過去のSNS発言が問題視され出馬を断念しました。他にも、「SEX中に相手の同意を得て首を締めて殺しても違法性はない」と投稿していた候補者がいたり、立憲も推薦した野党統一候補が当選直後にジェンダーに絡む発言で大きな批判を浴びるなど、明らかにこの問題は「鬼門」と言ってよいでしょう。
このような「言行不一致」が続けば、有権者から「ジェンダー平等」という公約の信用性が疑われても致し方ないのではないでしょうか。
立憲民主党をはじめとする野党が、選択的夫婦別姓を公約として大々的に掲げつつも総選挙で敗北したため、一部の政治家や識者が「ジェンダーは票につながらない」と語っています。ですがむしろ、「数々の問題行動によってジェンダー票が逃げている、潜在票も掘り起こせていない」というのが実態として正しいのではないでしょうか。
その一方で、ここにヒントがあるとも思います。政権を握っておらずとも、自分たちの組織内を大きく変えることで、野党という立場のままでも「実績」をアピールすることができるケースもあるわけです。
それはジェンダーに限った話ではありません。たとえば、長時間労働の
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