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ネット情報の複雑な関係を明らかにする可視化ツール

橋本大也

 ソーシャルメディアなどに登場する複雑な人間関係や情報の構造を、わかりやすく可視化するウェブツールが増えている。ビジュアルで自由に操作することもでき、いままでと一味違うネット分析が可能になる。

【Challenger Network Graph】友達の人脈分析

 フェイスブックの最も友達数が多い友達や共有する友達が多い人のランキング、同じ所属や最近の活動が活発な友達一覧などのデータを、2次元マップで表示する。人脈を直感的に把握できる。数千人の大きなグラフも出せる。

Challenger Network Graph

http://apps.facebook.com/challenger_meurs/

 

【Correlatter】フォローの強さを一目で

 自分を中心として、ツイッターでフォロー関係にある人を放射線状に表示する。線は3色に色分けされ、赤は双方向、黄色は自分が相手を一方的にフォロー、緑色は自分が一方的にフォローされていることを表している。気になる人をクリックすると、その人を中心にしたマップも表示する。

Correlatter

http://correlatter.com/

 

【Mentionmapp】つぶやきを話題に

 ツイッターで誰が誰の発言によく言及しているかを可視化する。過去に一度でも言及した人のみが関係図に表示される。言及した回数が多ければ多いほど太い線で結ばれ、言及回数もわかる。発言時のハッシュタグも表示されるので、どんな話題で言及し合ったのかを把握できる。ニュースで話題の人のアカウントを見て、誰と仲が良いのかなどを調べることに使える。

Mentionmapp

http://mentionmapp.com/beta/classic/index.php#user-daiya

 

【Bottlenose】ネットの自動新聞

 ツイッターやフェイスブック、グーグルプラスなどソーシャルメディア上で今、話題になっているニュースを新聞的なスタイルで表示する。特定の話題を設定して表示するソナーという機能がある。

Bottlenose

http://bottlenose.com/search/journalism

 

【pearltrees】リンク集を活用

 ユーザーは複数のサイトからなるテーマ別のリンク集的コンテンツ(Pearl)を作成する。

 たとえば「日本の新聞」という名前のPearlを作って、自分が興味のある新聞社の一覧を作る。みんなが作るPearlは検索を共有することができて、Pearl同士もリンクすることができる。

 内容的に近いPearlを呼び出すこともできるので、一般の検索エンジンを使わずに、精選されたリンク集だけで、ネット情報の探索を行うことができるので便利だ。

pearltrees

http://www.pearltrees.com/

 

【YASIV】アマゾンの関連商品分析

 米国版アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という関連商品のリンクを2次元マップ上に展開して、ビジュアルにたどれるようにしたもの。

 関連商品の関連商品まで同時に見ることができるので、潜在的な需要を発見しやすい。

YASIV

http://www.yasiv.com/

 

【Disconnect】個人情報追跡機能を発見

 最近のサイトの多くには、個人情報トラッカー、アクセス解析モジュール、フェイスブックやツイッターなどの他サービスの連動プログラムが多数仕掛けられている。

 こうしたサイトを閲覧すると、自分の閲覧行動を相手に追跡され、それに合った広告が表示されるようになる。

 多くは合法なものだが、サイト間で知らぬ間に情報をやりとりされマーケティングに利用されている。自分がどのように相手から追跡されているか、個人情報がどう利用されているかがわかる。

Disconnect

https://disconnect.me/tools

 ビッグデータなどが話題になり、大量のデータを効率的に整理して分析することがこれから日常的に増えていくだろう。

 情報の可視化には様々な手法があるが今回はリンクとノードタイプの可視化アプリを集めてみた。

 2次元に展開する可視化は項目間の関係が見やすく、たどりやすくなり、結果として新たな発見につながりやすい。画面サイズの大型化やマシン性能の向上により大きなマップも軽快に動かすことができるようになり、タブレットでの直感的操作にも適している。

 ますます複雑化するネットの情報やビッグデータのとっつきやすいインタフェースとして、これからこうしたツールが増えていくのではないだろうか。

    ◇

橋本大也(はしもと・だいや)

データセクション株式会社取締役会長。1970年神奈川県生まれ。早稲田情報技術研究所、メタキャスト、日本技芸などでも取締役を務める。またデジタルハリウッド大学教授、多摩大学大学院経営情報学研究科客員教授として知識イノベーション論などを担当。著書に『情報力』、共著に『新・データベースメディア戦略。』『ブックビジネス2・0』等。

※この記事は朝日新聞の専門誌「Journalism」1月号より収録しています