メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ネット時代の新しい経済事件報道は? ライブトーク動画

 


 朝日新聞社の言論サイト「論座」と「法と経済のジャーナル AJ」の編集部は3月16日(水)夜、「法と経済のジャーナル AJの12年を検証」「ネット時代の経済事件報道の試みの成果と今後を記者・編集者が語り合う」と題してインターネット上でトークライブを開催しました。2010年の発足時から「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」の編集に携わってきた朝日新聞の奥山俊宏編集委員とジャーナリストの村山治さん、「論座」の松下秀雄編集長が語り合い、ズームのウェビナー機能を用い、参加の皆様と質疑を交わしました。その模様を録画したビデオのうち、前半がこの原稿の冒頭に掲載しました動画です。後半の動画はご購読者向けにこの原稿の末尾に掲載しています。

論座とAJがスタートしたのは2010年

 法と経済のジャーナル Asahi Judiciary(AJ)は、企業など組織や経済・社会に影響を与えるかもしれない法制度やその運用・執行、経済事件の背景や裁判を詳しく報じる朝日新聞社のニュースサイトとして、2010年にスタートしました。関わった朝日新聞編集局の担当者にとっては、それまでなかったような新しいタイプの報道を展開し、ジャーナリズムの新境地を開こうとする実験的な試みでした。ズームウェビナーを使ったこのライブトークを開いてきているのもその試みの一環です。AJは何を目指したのか、そして、実際に、どのような報道をしてきたのか、どのような成果があったのかを検証し、今後への道しるべを探りました。

 2010年7月当時、朝日新聞社内に配布されたAJの説明資料には、次のように書かれています。

 報道局(現・編集局)は、「新聞を作る能力を新聞以外のメディア展開にも振り向けていく」「デジタルメディアへの一層積極的な発信に挑み、朝日新聞の可能性と新たな突破口を切り開いていく」といった役割を果たすことを求められており、AJの創刊は、そうした方針に基づく試みです。

 「論座」の前身である「WEBRONZA」は2010年6月24日にオープンし、同年7月1日、購読者から料金を頂く「課金」を始めました。AJはその弟分として同月21日にスタートし、8月1日に一部を有料化しました。日本でも世界でも、インターネット上で読者から購読料を頂いて取材や編集の支出をまかなっていくビジネスモデルがまだ珍しかった時代です。「朝日新聞デジタル」の創刊は2011年5月18日ですので、論座とAJはそれより1年近く早かったことになります。

 あれから12年近く。果たしてAJや論座は成功したのでしょうか? 紆余曲折はありましたが、ネットメディアとしては老舗と言っても過言ではない「12年」も続いているということは「一定の成果はあった」と自賛してもいいのかもしれません。が、果たして「大成功」とまで言えるかどうか……。そんななか、AJは昨年(2021年)6月1日、論座の下に引っ越ししました。今年(2022年)2月18日には、AJも含む「論座」の「進化」や「深化」の方法を探る、そんな試み「論座シンカ計画」がスタートしました。

 「『論座シンカ計画』始めます」「みなさまのお知恵、お貸しください」と題する記事のなかで、論座の松下編集長は「私たちは悩んでいます」と吐露しています。「私自身のいちばんの悩みは、言論やジャーナリズムを担う媒体としての役割を果たすこと。そして多くの方にお読みいただき、持続可能な媒体になること。このふたつの課題を、どうすれば両立できるかです」。そのように「悩み」を明らかにすることで、広く読者のみなさまのご意見を募り、みなさまのご参加を得ようという狙いなのでしょう。

 3月16日夜のライブトークでは、AJの創刊に関わった奥山編集委員、村山さん、論座の松下編集長の3人がこれまでの12年を振り返り、自画自賛だけでなく、ざっくばらんに「悩み」を語り合い、デジタル革命の進むなかでの今後の取材・報道を考えました。ご参加者から貴重なご意見を頂き、それについても議論しました。

 チャットを通じて寄せられたコメントの中には次のようなご意見がありました。

 言論の自由、民主主義を守ってほしい論座AJであってほしい。
 最近の新聞を読んでいて、「大本営発表」だけ、とガッカリしてました。今日も期待していなかたのですが、村山さんの記事の話を聞いたりして、論座を読もうかなと思いました。ぼくは、Web版の意味の最たるものは、リファレンスかなと思いました。20000の記事を個人が自分の本箱に入れることはできません。そのメリットは大きいなと思います。
 Web論座を読み出してここでしか読めない解説記事や広く論者の論考があることが楽しみになっています。(中略)法と経済AJはWeb論座から読めるようになってから従来から私の関心分野を扱うこんな面白いWeb媒体があるのかと、いままで知らなかったことが残念でした。論座AJライブトークは毎回視聴していますが、今日の話のテーマはとても納得ができます。奥山さん、村山さんの書かれて書籍も手にしておりましたが、Webの特ダネや深掘りされた内容がのちのち書籍化されてとWebと紙媒体が繋がれていく関係も期待が持てます。

 論座(全ジャンルパック)もしくは朝日新聞デジタル(プレミアムコース、ダブルコース)の購読者は以下のリンク先から、ライブトークで用いたパワーポイントのスライドの一部をPDF化したファイルをダウンロードすることができます。

 2022年3月16日の論座AJライブトークで用いたパワーポイントのスライド

 論座AJの編集部では昨年(2021年)7月から毎月欠かさず第3水曜日の夜、ズームのウェビナー機能を用いてオンライン記者イベントを開いてきました。これも新たな試みの一つであり、今回、第9回となりました。これを一つの区切りとし、今後、論座AJライブトークをどうするかについても、3月16日夜のライブトークで話し合いました。その結果、4月以降は頻度を落として随時開催していこうということになりました。次回の論座AJライブトークは2022年5月18日(水曜日)午後7時から、「改正公益通報者保護法6月1日施行」とのテーマで開催する予定です。ご参加のお申し込みはこちらから:https://ciy.digital.asahi.com/ciy/11007753

 以下の動画は、ネット時代の経済事件報道の新しい姿を探る3月16日夜のライブトークを収録したビデオの後半です。論座(全ジャンルパック)もしくは朝日新聞デジタル(プレミアムコース、ダブルコース)ご購読の上でご覧く

・・・ログインして読む
(残り:約29文字/本文:約2758文字)