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民事再生で管財人!? 会社更生で旧経営陣が再建関与!? ガバナンスはそのとき?

柴原 多

 本来は経営陣が継続することが前提となる民事再生手続きで旧経営陣が経営から排除されて管財人が選任されるケース、逆に、本来は外部から招かれた管財人の管理下で再建を目指すのが原則の会社更生手続きで旧経営陣が管財人に選ばれるケース、そんな事例が最近、目立っているという。そこでしばしば問題となるのは、債権者らステークホルダーが納得できるガバナンスの構築だ。倒産法・事業再生の専門家である柴原多弁護士がこれらの実情を分析した。(ここまでの文責はAJ編集部)

再建型倒産手続とガバナンス

西村あさひ法律事務所
弁護士 柴原  多

 1.再建型法的手続におけるガバナンス

 (1)伝統的なガバナンス

柴原多弁護士柴原 多(しばはら・まさる)
 1996年、慶應義塾大学法学部卒業。司法修習を経て99年に弁護士登録(東京弁護士会)。事業再生・倒産事件(民事再生・会社更生・私的整理事件を中心)、第三セクターの再建、国内企業間のM&A等に関する各社へのアドバイス、法廷活動等に従事。西村あさひ法律事務所パートナー。
 近年、日本においては、私的・法的を問わず様々な再建型倒産手続が設けられているが、伝統的には、民事再生手続と会社更生手続という再建型の法的倒産手続が企業の再建に重要な役割を果たしてきた。

 このうち、DIP型(Debtor In Possessionの略。従前の経営陣に経営権を残しながら再建する方法)を原則とする民事再生手続においては、経営陣が続投することに伴うモラルハザードが懸念されたが、

 (a)民事再生手続の利用者として本来想定されてきた中小企業においては、経営者と企業の関係が緊密であること(必要性)

に加え、

 (b)(裁判所によって選任される)監督委員による監視機能が存在すること(許容性)

を踏まえ、債権者においてもDIP型を採用することを消極的にではあるが受け入れてきたように思われる。

 これに対し、会社更生手続は、大企業が利用することが多かったこととも関係し(そのため中小企業のような緊密

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