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ついにペイオフ現実に、緊迫の日本振興銀行

 日本振興銀行が経営破綻し、国内初のペイオフが発動された。これまでの銀行破綻では預金は原則全額戻るよう保護してきたが、金融庁はついに1千万円超の預金とその利息を保護しないというペイオフの封印を解いた。経験したことのない「荒療治」には不安もある。大切な預金が安全かどうかの見極めが一層必要になった。

 

 ■「全部返してって」と預金者

 東京都千代田区の日本振興銀行本店。早朝から表玄関には、新聞などで破綻を知った預金者数人が集まっていた。だが、開店時間の午前9時を過ぎても扉は閉じたまま。

 「全部返してって言いに来たのに」。1千万円を超える預金があるという年配の女性は肩を落とした。

 これまで一度も発動されたことが無かったペイオフ。元本が1千万円を超える預金者たちは、一部の預金と利息がカットされてしまう見込みだ。

 女性が不安を口にする1時間半ほど前、本店裏口に黒や紺のスーツに身を固めた40人ほどが列をつくっていた。

経営破綻した日本振興銀行本店に入る預金保険機構の職員ら=10日午前7時47分、東京都千代田区、水野義則撮影経営破綻した日本振興銀行本店に入る預金保険機構の職員ら=10日午前7時47分、東京都千代田区、水野義則撮影
 「預金保険機構です」。先頭の男性がインターホンで訪問を告げた。扉が開くと、預金保険機構の職員たちは緊張した面持ちで続々と店内になだれ込んだ。営業を再開する13日に向け、土日返上で預金者にすぐに払い戻せる預金額を調べる部隊だ。

 スムーズに1千万円までの預金とその利息が支払われるかどうか。この部隊の2日間が、国民に不安を与えずにペイオフを進める要となる。

 10日午前11時ごろに記者会見した預金保険機構の田辺昌徳理事長代理は、週明け13日から預金の払い戻しの受け付けができるかを問われるとこう言い切った。「強く確信している」

 緊張と不安が漂うペイオフ。新たな時代に入った預金者は、大切な預金を守る心構えが必要となる。

 「預金保険の

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