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振興銀転落の軌跡 開業6年で破綻 金融行政の課題は?

 中小企業向けの融資が専門という新しいタイプの銀行として金融界に参入した日本振興銀行が、開業から6年で経営破綻に追い込まれた。創業メンバーの木村剛前会長ら旧経営陣の拡大路線を止められなかったのが、あだになった。金融庁の監督行政にも課題を残す。


 ■拡大志向があだ、経営陣の暴走止められず

 「業務拡大、収益拡大に走った結果、こんな経営になった」

 振興銀の小畠晴喜社長(作家名・江上剛)は10日の記者会見で、経営破綻に追い込まれた理由をそう述べた。

 設立の目的は中小企業を支援することだった。だが、メガバンクなどが中小企業向け融資に力を入れ始めたことで、顧客開拓は伸び悩んだ。

シャッターに預金者向けのお知らせを張る男性ら=栃木県小山市
 苦境を打開する糸口に、と手を出したのが、収益を得やすい貸金業者の債権の買い取りや、親密な取引先への融資拡大だった。「規模を拡大しないと競争に勝てない」(関係者)との思いから、拡大路線に拍車がかかった。

 しかし、債権や融資の回収の可能性などを審査する体制は貧弱なまま。甘い審査は、損失へとつながる。旧経営陣が逮捕された後、新経営陣が大口融資先への過去の融資を調べたところ、回収が難しい融資が次々と判明した。

 社外から招いた人たちが中心の取締役会が執行部門を監督する体制も甘く、暴走を止められなかった。

 社長に就く前は、社外取締役として経営陣をチェックする立場だった小畠氏は「本来なら

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