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「親子上場」解消の理由と手法、問題点

森本 大介

 親会社とその子会社がともに証券取引所に株式を上場している「親子上場」の状態を解消する動きが相次いでいる。その背景に何があるのか、そして、解消のためには、どんな手法がありうるのか、その際、どのような工夫と注意が必要とされるのか。西村あさひ法律事務所の森本大介弁護士が「親子上場」をめぐる現状を整理・分析した。(ここまでの文責はAJ編集部)

キリンによるメルシャンの完全子会社化と親子上場の解消

 

西村あさひ法律事務所
弁護士 森本 大介

 ■はじめに

森本大介弁護士森本 大介(もりもと・だいすけ)
 2000年、東京大学法学部卒業、2001年に弁護士登録(司法修習54期)。2007年にノースウエスタン大学ロースクール修了(LL.M.)。2007年、アメリカ合衆国ニューヨーク州弁護士登録。2007年から2008年にかけて Kirkland & Ellis LLPにて研修。国内及びクロスボーダーのM&A案件、FCPAをはじめとする危機管理案件を中心に、会社法などビジネスロー全般にわたる各社へのアドバイスに従事。
 平成22年8月27日、キリンホールディングス(以下「キリン」)が株式交換の手法によりメルシャンを完全子会社化することを公表し、また、7月29日には、パナソニックがTOB(公開買付け)と株式交換の組み合わせにより三洋電機を完全子会社化することを公表した。これらは、いずれも上場会社である親会社が、上場子会社を完全子会社化するという事案である。

 ある上場会社が他の上場会社を子会社として保有するという関係は、一般に親子上場と呼ばれるが、近年、親子上場には弊害があるとして、これを解消すべきであるという論調が徐々に高まっているように思われる。

 本稿では、なぜ親子上場の解消が進んできているのかを親子上場の問題点に照らして検討し、実際に親子上場を解消するための手法とその留意点について紹介する。

 ■親子上場のメリットと問題点

 親子上場には様々なメリットがあると言われている。

 例えば、子会社が上場会社である親会社の信用力を利用することで、子会社における借入等の資金調達が容易

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