メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

B型肝炎訴訟の国側負担、増税案浮上

 国の集団予防接種によるB型肝炎訴訟で、数兆円規模に及ぶ国側の負担をどう賄うかが焦点になってきた。政府内では増税で国民負担を求める意見が出ているが、政府が30年で総額2兆円という数字を打ち出したことに原告側は反発しており、溝はなお深い。政府の目指す年内合意にたどり着けるかどうか、先行きは見通せない。

  ▽筆者:高田寛、北林晃治

  ▽この記事は2010年10月16日の朝日新聞朝刊に掲載されたものです。


 ■2兆円超、どう確保 野田財務相「国民負担お願いも」

 野田佳彦財務相は15日の閣議後の記者会見で、B型肝炎訴訟の国側の和解案の財源について「どうしても国民負担をお願いせざるを得なくなるのではないか」と述べた。増税の可能性を問われると「あり得ると思う。国民負担とはそういうことだ」と強調した。和解案の総額は約2兆円。国民1人あたりの負担額は約1.6万円となる。

 今回と同じ厚生労働省が関係した国家賠償訴訟で、国の負担が過去最大なのは薬害スモン訴訟の2千億円。C型肝炎訴訟では、国と企業で基金を創設し、これまで約340億円(約1600人)を支払ったが今回とはケタが違う。

 政府の試算では、原告側の要求水準なら総額8.2兆円が必要。長期にわたって補償していくための負担とはいえ、今年度の公共事業費(5.7兆円)や防衛費(4.8兆円)を上回る規模だ。

 巨額の財源をどう確保するの

・・・ログインして読む
(残り:約1002文字/本文:約1600文字)