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検事総長やっと登場 起訴にらみ法務省奔走《時時刻刻》

 前代未聞の不祥事にもかかわらず、これまで表に登場しなかった大林宏・検事総長が初めて、21日の記者会見に姿を見せた。政界で総長の「進退問題」がくすぶる中、「検証結果を踏まえて、思い切った改革をする」と宣言。「続投」には検察内部でも賛否両論が出た。また、「特捜部解体論」など検察改革の論議が今後、本格化する見通しだ。

  ▽この記事は2010年10月22日の朝日新聞朝刊2面に掲載されたものです。

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 ■総長自ら表に出てきた舞台裏は? 続投には賛否の声

柳田稔法相(左)に頭を下げる大林宏検事総長=21日午後4時1分、東京・霞が関の法務省、金子淳撮影柳田稔法相(左)に頭を下げる大林宏検事総長=21日午後4時1分、東京・霞が関の法務省、金子淳撮影
 「前代未聞の不祥事なのに、これまで検察トップの総長は全く表に出ていない。国民の前で説明しなければならないと考えてきた」(法務省幹部)。法務・検察の内部では、逮捕した大阪地検前特捜部長と元副部長の勾留期限である21日に向け、検事総長が表に出る方法をひそかに検討していたという。

 朝日新聞などが加盟する司法記者クラブは、事前に総長の会見を要求。だが、21日午前の段階では「現時点では未定」との回答だった。

 2人が起訴された同日午後、柳田稔法相が総長を呼び、報道陣が取り囲む中、信頼回復への努力を求める場面が実現。これは、先週から法務省刑事局などが中心になって調整した結果だという。その後に行われた最高検の記者会見には総長の姿があった。

 過去には、1993年のゼネコン汚職事件の捜査で、応援に加わった検事が参考人に暴行した事件の際や、2002年の大阪高検公安部長による詐欺・汚職事件の際に、当時の検事総長が記者会見で謝罪したことはあった。法務省幹部によれば、「こうした前例にもならった。いつも最高検で会見している次長検事が監督上の処分を受けたという事情もあった」。

記者会見で頭を下げる大林宏検事総長=21日午後5時2分、東京・霞が関の最高検記者会見で頭を下げる大林宏検事総長=21日午後5時2分、東京・霞が関の最高検
 証拠改ざん事件が発覚した当初から、与党内に検事総長の更迭を求める意見が噴き出す中、法務・検察では、幹部の監督責任をどこまで負わせるのかが焦点となった。

 大阪地検検事正と当時の次席検事のほか、前任の検事正までは「確実」。上級庁で当時、

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