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公益通報者保護制度「ほとんど聞いたことがない」が過半数

奥山 俊宏

 組織内部の犯罪などを内部告発した労働者を一定の要件の下に保護しようとする公益通報者保護制度について、東京商工会議所が都内の中小企業を対象にアンケートしたところ、過半数が「ほとんど聞いたことがない」「初めて知った」と回答した。10月27日に開かれた内閣府消費者委員会の会議で明らかにされた。

▽筆者:奥山俊宏

 調査は8月25日から9月1日にかけて、東京23区に拠点のある約2400の中小企業を対象に、景況調査に付帯して、調査員が訪問して調査票を回収する方法で行われた。922社が回答した。

 公益通報者保護制度に対する認知度を尋ねた質問に対し、「制度の内容も含めてある程度知っている」と回答したのは148社(16%)。「制度の名前を知っているが、内容はよく知らない」という回答が267社(29%)でもっとも多かった。「ほとんど聞いたことがない」が253社(27%)、「初めて知った」が222社(24%)だった。

 制度の望ましい見直しの方向を問うた質問に対しては、「制度を見直すよりも周知・広報を徹底すべき」との回答が554社(60%)に上り、以下、「わからない」(247社、27%)、「使いづらいので簡素化すべき」(113社、12%)、「保護を徹底するために罰則を強化」(63社、7%)、「保護対象が狭いので拡大すべき」(39社、4%)、「対象となる法律を増やすべき」(23社、2%)と続いた。

公益通報者保護専門調査会=27日午後4時1分、東京都千代田区永田町の消費者委員会大会議室で
 公益通報者保護法は2006年4月1日に施行され、その附則で、「施行後5年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と定めている。このため、内閣府の消費者委員会は今年5月、公益通報者保護専門調査会を設け、現行制度の課題や見直しの視点について議論を進めている。東京商工会議所のアンケート結果は、10月27日に開かれた第5回の会議で、専門調査会の委員を務め
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