日本への影響は?
2010年11月24日
西村あさひ法律事務所弁護士
Shearman & Sterling法律事務所客員弁護士
宇野 伸太郎
2010年6月24日、米国連邦最高裁は、米国で証券訴訟を提起できる原告の範囲について、極めて重要な判決を下した(Morrison v. National Australia Bank)。米国証券取引法による不実表示規制に基づき、米国連邦裁判所で訴えを提起できるのは、米国の証券取引所に上場している証券を売買した者、又は、米国内で証券を売買した者に限られるという内容の判決である。
証券訴訟が盛んな米国では、外国企業に対しても多くの証券訴訟が提起されており、そのクラスアクション制度とあいまって、巨額の損害賠償が認容されたりするなど、米国証券訴訟は外国企業にとっても非常にリスクの高いものである。しかし、本判決によって、外国企業に対する米国証券訴訟について、その危険性が多少なりとも弱まることが予想される。
以下では、外国企業に対する米国証券訴訟の概要及びMorrison判決の内容を簡潔に紹介したい。
■外国企業に対する証券訴訟 ―Morrison判決以前の状況―
□米国証券取引法における不実表示規制
米国証券訴訟では、不実表示により損害を被った
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