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公益通報者保護法改正は「先送り」、内閣府消費者委の調査会

奥山 俊宏

 来春に施行5年を迎える公益通報者保護法の改正について、内閣府の消費者委員会の公益通報者保護専門調査会は16日、賛否両論を併記し、結論を「先送り」にする報告骨子の案をまとめた。まずは現行法の周知や実態調査を政府に求める。


 一定の要件を満たす内部告発を民事ルールで保護しようとする公益通報者保護法は2006年4月1日に施行された。附則で「政府は、この法律の施行後5年を目途として、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と定められており、来年春の満5年を前に、内閣府の消費者委員会は専門調査会を設けて議論を続けてきた。消費者委員会は「消費者庁及び消費者委員会設置法」の第6条により、公益通報者の保護に関する基本的な政策に関する重要事項について、調査審議し、必要と認められる事項を内閣総理大臣らに建議することを仕事の一つとされている。

 これまでの会議では、公益通報者保護の対象を広げる方向で法改正をすべきとの意見が出る一方で、改正に消極的な意見も出されていた。

 12月16日、専門調査会の第7回の会議が開かれ、座長の島田陽一・早稲田大学法学学術院教授の「試案」として、消費者委員会への報告の案の骨子が示された。保護対象とする通報の範囲や外部通報の要件などについて、試案は「大方が一致する結論を得るには至らなかった」とした。「すなわち、『現行法を改正すべき』との意見と、『このままでよい』または『変更に慎重であるべき』との意見の両論があり一致に至らなかった」とした。

 この結果、試案は「政府に求められる事項」として、公益通報者保護法の周知や通報窓口の設置促進、ガイドラインの改訂など運用の充実、制度の実態に関するきめ細やかな調査、法改正を必要とする課題の有無などの把握などを列挙するにとどめた。法改正については、「各取り組みの結果を踏まえ、法改正によって見直すべき課題がある場合には真摯に検討すべきである」とした。

 島田座長は「まだまだ内部通報制度の充実

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