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内部告発者を含む6人免職、21人停職 河川事務所現金着服で 大阪市

 大阪市環境局河川事務所の職員が河川の清掃作業中に拾った金品を着服したとされる問題で、市は22日、着服を内部告発した男性職員を含む6人が現金3万~5万円を着服していたとして懲戒免職、着服額が少なかったり拾得物を私物化したりした21人を停職1~6カ月の処分とし、発表した。監督責任を問い、上司のうち7人を戒告、8人を文書訓告とした。市は同日、遺失物等横領容疑で大阪府警に告発した。

  ▽筆者:坪倉由佳子

  ▽この記事は2010年12月23日の朝日新聞朝刊(大阪)に掲載されたものです。

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 懲戒免職となったのは、今年6月に大阪市中央区の道頓堀川で千円札約10万円分と5千円札1枚を拾ったとされる2人と、2009年7~10月ごろに道頓堀川で15万円を拾ったとされる5人(うち1人は6月の件と重複)の計6人。二つのケースとも拾った現金を山分けしていたとされる。市の事情聴取に対し、5人は着服を認めたが、1人は「記憶にない」と話しているという。

記者会見で内部告発者を懲戒免職にした理由を話す大阪市の平松邦夫市長=22日午後、市役所、坪倉写す
 このほか、拾った現金を職場でストックした上で分配したり、着服額が数千円単位だったりした12人を停職3~6カ月、ジュース代などに少額使っただけの8人と、拾得物のゴルフバッグを職員からもらった事務所長(係長級)をいずれも停職1カ月とした。

 懲戒免職と停職の27人のうち19人が、現金とは別に、私鉄や市営地下鉄のプリペイドカードや商品券などの有価証券を拾って私的に使っていたことを認めているという。

 この問題は、懲戒免職になった男性職員が着服の様子をビデオで隠し撮りして内部告発して発覚。この職員は、現金を山分けして約5万円を受け取った後、別の職員の立ち会いのもとで、抜き取った元のかばんに現金を戻して廃棄したという。だが、市は「最終的に捨てても、いったん支配下に置けば遺失物等横領罪は成立すると弁護士から指摘を受けた」と説明。調査の過程で、職員が日ごろから職場で同僚に脅迫的な言動をして職場の秩序を乱していたことが判明したとし、その点も懲戒免職の理由に含まれるという。

 この職員は朝日新聞の取材に「不正な行為をしている職員に怒ったことはあるが、脅迫とか恫喝(どうかつ)とは違う」と語り、近く処分に対し不服申し立てをする意向を述べた。

 この問題を受け、市は来年度にも河川事務所を廃止し、業務を民間委託する方針を決めている。今回の処分で、市の今年度の懲戒免職者は29人(昨年度14人)となった。

 ■内部告発者「あんまりめちゃくちゃ」

 大阪市環境局河川事務所の職員が河川で拾った金品を着服していたとされる問題は、42人もの市職員の処分という事態に発展した。懲戒免職となった6人には不正を内部告発した男性職員もおり、市の処分を不服として争う構えを見せている。

 「あまりにむちゃくちゃ。報復としか思えない」。何らかの処分は予想していたという男性職員だが、退職金が出ない懲戒免職という厳しい処分に言葉をなくした。

 男性職員は6~8月、同僚らが作業中に拾った現金を着服する様子を腕時計式のビデオカメラで隠し撮りし、その映像をおさめたDVDを市に提出した。今回、職員が処分されることになった6月の着服場面の映像も、DVDの中にあったという。

 男性職員によると、道頓堀川で10万円余りが入ったかばんを拾った際、「ここで同僚と話を合わせないと、着服の全体像を明らかにできない」と考え、半分の約5万円を受け取り、その後、現金を戻したかばんを回収したほかのごみと一緒に捨てたという。この行為については同僚の目撃証言があり、市も事実として認定している。

 男性職員は現金を捨てた理由について、「落とし主に返せればよかったが、だれが落としたのかが分からなかった。不正な金を持っているのが怖かった」などと話した。

 平松邦夫市長は

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