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企業不祥事の際の第三者委員会による調査を巡る問題点

森本 大介

 不祥事を起こした会社の依頼で外部の弁護士らが事実調査などを行う第三者委員会。オリンパスの粉飾事件では、捜査当局に先んじて旧経営陣から「自白」を引き出し各方面の評価を得たが、九州電力のやらせメール問題では、佐賀県知事の関与をめぐり会社側と見解が対立。泥仕合となった。企業の危機管理問題に詳しい森本大介弁護士が、第三者委の抱える法律的、社会的問題点を詳細に分析し、不祥事を起こした場合の信頼回復の有効手段ではあるが、第三者委の調査、報告には慎重な対応も必要と訴える。

 

企業不祥事の際の第三者委員会による調査を巡る問題点

 

西村あさひ法律事務所
弁護士・ニューヨーク州弁護士
森本 大介

 ■はじめに

森本 大介(もりもと・だいすけ)森本 大介(もりもと・だいすけ)
 2000年東京大学法学部卒業、01年弁護士登録(司法修習54期)。07年にノースウエスタン大学ロースクール修了(LL.M.)。同年アメリカ合衆国ニューヨーク州弁護士登録。07年から08年にかけてKirkland & Ellis LLPにて研修。現在西村あさひ法律事務所パートナー。国内及びクロスボーダーのM&A案件、FCPAをはじめとする危機管理案件を中心に、会社法などビジネスロー全般にわたる各社へのアドバイスに従事。

 近時、大王製紙の創業家出身者である元会長による巨額の会社資金の流用や、オリンパスの経営陣による十年以上に亘る粉飾決算など、上場会社のコンプライアンスを巡る問題が連日新聞紙上を賑わしている。その他、背任や粉飾ではないが、九州電力のやらせメール事件なども上場会社のコンプライアンスを巡る問題点として記憶に新しい。これらの企業不祥事が発覚した場合

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