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米国独禁法の域外適用は拡大するのか、米国の議論を読み解く

 米国の独占禁止法で摘発された場合の制裁の重さが日本など外国企業にとって大きな脅威となっている中、米司法省などが、係争中の国際カルテル事件の控訴裁判所大法廷に、米独禁法の域外適用の範囲を拡大する方向の意見書を提出した。これが採用されると、カルテルなどの摘発に向けた米当局の「爪」がさらに長くなるのは必至だ。藤井康次郎弁護士が、米独禁法の域外適用の判例の流れを概観するとともに、最新動向を詳細に解説する。

米国独禁法の国際的適用範囲(域外適用)についての最新動向

西村あさひ法律事務所
 弁護士 藤井康次郎

藤井 康次郎(ふじい・こうじろう)
 弁護士。2004年東京大学法学部卒。司法修習(第58期)を経て、2005年に弁護士登録。2011年ニューヨーク大学ロースクール修了(Hauser Global Scholar奨学生、Frank T. Diersen Prize及びBetty Bock Prize in Competition Policy受賞)。現在、米国Cleary Gottlieb Steen & Hamilton法律事務所(ワシントンDCオフィス)に勤務。

 ■問題の所在

 米国独占禁止法(多くの場合、シャーマン法を指す。以下、基本的に、単に米国独禁法という)の国際的適用範囲、いわゆる域外適用の範囲は、日本企業にとって大きな関心事であり続けている。米国独禁法の定める刑事制裁は厳しく

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