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オリンパス社員の浜田さんが「最高裁勝訴後も会社が人権侵害」で三たび救済申し立て

7月11日、記者会見一問一答

 社内の内部通報制度を利用したことによって不当に配置転換された精密機器大手「オリンパス」社員の浜田正晴さん(51)と、控訴審で浜田さんの訴訟代理人を務めた光前幸一弁護士が7月11日、記者会見を開き、6月28日に最高裁で勝訴が確定してからの近況を語った。浜田さんはその日、記者会見に先立ち、「配転を無効とする判決が確定したのに、社内で処遇が改善されない」と東京弁護士会に人権救済を申し立てた。

  ▽筆者:奥山俊宏

  ▽編集協力:河嶌太郎

  ▽この記事は2012年7月12日の朝日新聞に掲載された原稿に加筆したものです。

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記者会見する浜田正晴さん=7月11日午後4時56分、東京都千代田区霞が関で

 浜田さんは営業チームのリーダーだったが、上司の問題を社内のコンプライアンス室に伝えた後の2007年10月、畑違いの部署に異動になった。配転無効を求めて訴訟を起こした結果、昨年8月の東京高裁判決は「通報は正当。上司は制裁的に配転命令をした」などと配転の無効を認め、その判決が先月28日に最高裁で確定した。

 浜田さん側によると、7月2日に人事部長から「しばらく自宅など任意の場所または現職場で待機」と言われ、上司からは「もう上司ではない」と言われ、以後、仕事も与えられていないという。代理人の光前幸一弁護士は「最高裁の決定が出たにもかかわらず、判決を速やかに履行しない」と会社を批判した。

 同社は取材に対し、「判決を厳粛に受け止め、ご本人の意思を尊重して次の部署を検討している」と答えた。

 記者会見での浜田さん、光前弁護士の発言と記者との質疑応答のやりとりは以下の通り。 

 ■最高裁での勝訴確定とその後

 浜田氏:オリンパスの浜田です。何度もこの場でお話させていただいてありがとうございます。きょうは大きく分けて2件お話がございます。
 1件目は6月28日の最高裁によるオリンパスの上告棄却と上告受理申立不受理ということを受けてです。東京高等裁判所の判決が確定したということの中で、配転命令の無効についての履行が、きょう現在7月11日時点においてもまだなされてないという事実があります。その中で、弁護団の方から7月4日に会社及びオリンパス労働組合に対して、あとで光前弁護士の方から説明していただきますけど、速やかに最高裁の決定に基づいたことを履行するようにという旨の手紙を5日以内ということで期限をつけて、(光前弁護士に)出していただきました。私が通知人です。それで、7月11日の午前0時までに、両者とも回答していただけるということにならなければいけなかったはずが、労働組合の方からは、光前弁護士宛という指定をしましたので、そちらには昨日(回答が)来ました。内容は光前先生の方から話していただきます。
 会社の方は私の方にしっかり話を進めるということで、昨日までにきちっとするということがありましたが、会社からは、昨日の段階、約束の期限までには全く無視ということです。最高裁の決定(6月28日付)を受けてから面談があったのは、7月2日に人事部長と人事グループリーダーと面談があって、簡単に言うと、最初言われたのは自宅待機、または、違法とされたシステム品質グループの席で待機ということで、「期限は一定期間またはしばらくの間」ということで言われました。それで私としては、「自宅待機というのは監禁されているみたいでそれはおかしいのではないか」と言ったところ、「じゃあ任意でいい」ということで、「自宅または任意の場所の待機、それか、システム品質グループの席においての待機。期限については特になし」ということを言われまして、「それ以外に選択肢はない」とはっきりと人事部長から言われまして、これまで「話があったら人事部の方からする」と言われましたが、そういうこともあって弁護士の方からレターを出していただいたと。それが結局、期限内に返事が来なかったので、それは非常に遺憾なことであると。なぜかというと、最高裁の決定に基づいた、東京高裁の判決の確定によって、日本は法治国家でありますし、それをこのまんまずるずるいくわけにはいかないという私の弁護団の判断もありまして、そういう今の事態をきちっと皆様と共有していきたいと思いました。「自宅待機でもいい、外でもいい、どこでもいい、お金は払う」ということは言われましたが、私としては「そんなばかな話はない」ということで、私は毎日会社に行ってますんで、私の上司も既に「出勤の承認はする立場にない」と言いながら、私の所属はシステム品質グループのままなんですが、プレートは外されて、前よりもちょっと何が何だかわからない状況になってしまったという、最高裁の決定が勝ったのかなんなのかよくわからないような事態になっているので、これから弁護士・代理人といろいろ話をしながら、権利回復に向けてさらにまた頑張っていかなければならない状況にあります。
 一応それが1点で、もう1点目が、本日、人権救済申立の3回目を行いました。これにつきましては、既に2回目(の救済申し立て)を平成23年の10月12日に私自身から行っておりますが、その後も東京弁護士会の人権擁護委員会から事情聴取を2回受けておりまして、今回最高裁の決定によって確定判決が出ましたので、1つの私の気持ちとしては、人権救済の総括という意味を込めて、きょうお渡しした部分の内容で求める結論、ということで、ここに書いてあります。1番はじめが1番ポイントなんですけれど、「相手方(オリンパス)が最高裁の決定(24年6月28日付)により決定した東京高裁判決のうち、第3配転先のシステム品質グループにいまだ(平成24年7月11日現在)所属させている違法状態を是正させること、それを速やかに行って人権救済してほしい」ということです。以下10項目書いてありますが、もう1つの部分としては、会社というのはグループワーキングをして、同僚と共業して仕事をするところなので、「しっかりと(社内への)説明責任を果たしてほしい、ということで、笹宏行社長に警告してほしい」と。
 なぜかというと、私の件は一切社員には何ら説明なく、オリンパスは「コンプライアンスコミットメント」ということで、輝かしく綺麗なホームページで、適切な処遇をしていくとか、高い倫理観に基づいて行動していくとか(言っている)。まあ、そういうギャップの中で、私は大変今も非常に苦しい状態にあると。ということもあるので、謝罪という部分も入れて、私に対する謝罪と、あとは社員への説明責任を果たしていただくと。ということが大きな2番目の骨子になっております。5番目に書いている申立の根拠としては先ほど申し上げた判決の確定及び東京弁護士会からの警告に対しての履行責任を果たしていない現状、さらに私自身が毎日もう1年以上日記をつけておりますが、東京弁護士会がそういった日記に基づいた第二回目の人権救済申立以降の事情聴取もあります関係上、その部分の人権救済申立もしておかなければいけないのではないかと思ったこと。それと先ほど申し上げたやはり私の同僚たちに、会社が私の名誉を傷つけることを言ったり書いたりしていたことに関しては是正して説明をしていただかないと、やっぱり仲間意識を再醸成して、普通のサラリーマンとして勤務していくことが極めて難しくなるということで、それに対するお願いということで人権救済申立を本日7月11日に行いました。
 いずれにしても一番の思いは、こんな状況ではオリンパス株式会社は私としては決して再生はできないし、やっぱり従業員もこれだけ黙るということは、やはり何も変わらぬ企業風土ということが、経営陣が全部代わっても継続しているということに対して、私は裁判、私のコンプライアンスの裁判においては、勝訴しましたが、しかしどうしてもこのオリンパス自体を立て直したいということと、あとはいろんな社会でやはり高い倫理観に基づいたいろんな行動ができてない部分がいろんな報道等で見受けられるので、少しでも意義ある裁判にしたいという意思を貫き通すという意味でこれからもしっかりと会社に行って、新たなる信念を持った行動をしていきたいというふうに思ってます。私からは以上です。

 ■「履行されない判決」

記者会見する浜田正晴さんと光前幸一弁護士(右)=7月11日午後4時31分、東京都千代田区霞が関で

 光前弁護士:代理人弁護士の光前です。今年の6月の28日に最高裁の上告棄却の決定がでまして、6月29日に双方に裁判の内容が知らされたわけですね。それで7月2日に会社の方から浜田さんに対して今後の処遇についての相談がありました。ただ、会社は「これから検討する」ということで、「しばらく時間をくれ」ということでした。「どれぐらい待てばいいのか」ということに対する回答はありませんでした。浜田さんとしてはそれでは困るので、「なるべく早く会社としての意向を示していただきたい」ということだったものですから、代理人の方で7月の4日に、こういう状態が長く続くというのは非常に不健全ですので、会社としてなるべく早く一定の方針を示してくださいということで、7月10日までには浜田さんと

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