教育現場のSOSを追って
2012年12月07日
「子どもの貧困の実態はいったいどうなっているのか。さまざまな方法で貧困の実態を訴えられる大人たちと違い、子どもたちは自らの状況を社会に訴える手段をほとんど持っていない。小さい子どもほどそうだ。」
この問いから、共同通信社による長期連載企画「ルポ 子どもの貧困」は始まった。この連載をもとに大幅な加筆・修正の上、各章の末尾に専門家へのインタビューを加えたのが本書である。2012年5月に光文社から出版された。
本書は、夜間定時制の高校生からはじまり、中学生、小学生、そして保育園と、それぞれの年代ごとに子どもの貧困問題を追っていく4章構成となっている。取材の対象となる生徒だけでなく、その家庭や担任の教師、時には生徒や保護者の仕事先などを通じ、それぞれの貧困の実態を様々な側面から追っている。
「『景気が悪くなったとはいえ、この日本のどこに子どもの貧困なんかあるの』と取材でも大人たちからこんな疑問をぶつけられた」と本書は述べる。「教育関係者も例外ではない」のだそうだ。しかし「子どもたちはとても繊細で、親を気遣い、貧困を隠す」から、「子どもの貧困は見えにくい」と本書では述べられている。それを裏付けるように、本書では「厚労
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