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日本版クラス・アクション法施行にあたって、企業が準備すべきこと

八木 聡子

 特定適格消費者団体が企業により被害を受けた消費者の代表となり、企業を相手取って訴訟を起こすことができる日本版クラス・アクション法(消費者団体訴訟法)が2013年12月に成立し公布された。消費者にとって訴訟参加のハードルが下がると歓迎される反面、企業側が賠償・和解金、訴訟費用、風評被害などにより巨額の損失を受けるとする経済学者の指摘もある。八木聡子弁護士が制度の概要、施行された際の産業界に与える影響及び実務上の懸念点などを分析し、公布から3年以内とされる法の施行までに、明確な基準やルールを定めるよう求める。

日本版クラス・アクション制度とビジネスへの影響
「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」の成立を受けて

 西村あさひ法律事務所弁護士
八木 聡子

八木 聡子(やぎ・さとこ)
  2001年東京大学法学部卒業、2002年弁護士登録、2009年~2010年、三井物産企業投資株式会社出向、2011年、南カリフォルニア大学ロースクール卒業(LL.M.)、2011年~2012年、米国三井物産株式会社法務部出向。

1 はじめに

 2013年12月4日、同年春の通常国会に法案が提出され、継続審議となっていた「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」(以下「日本版クラス・アクション法」という)が遂に成立し、同月11日、平成25年法律第96号として公布された。同法は

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