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『域外適用法令のすべて』 国際社会におけるリスク管理の知識を解説

『域外適用法令のすべて』
 2013年12月9日発行
 監修・著者:アンダーソン・毛利・友常法律事務所
 著者:デービス・ポーク・アンド・ウォードウェル、君合律師事務所、スローター・アンド・メイ法律事務所
 発行:(株)きんざい
 定価:4200円+税

 海外に行けば、行った先のその国の法令が適用される。しかし、海外に行かなくてもその国の法令が適用されることがある。「外国法の域外適用といわれる事象」である。つまり、日本経済と関係が深い、米国、英国、EU、中国などの法令が、日本国内において我々日本人にも適用されうるということだ。

 日本は独立した国家である。国家は国際社会の基本単位であり、主権をお互いに主張することで国際社会は成り立っている。では、なぜ日本国内の活動に外国法が適用される場合があるのだろうか。本書によれば、その理由は「国際法によって認められた国家の管轄権の考え方」にあるという。国家が管轄権を行使する根拠として、伝統的な国際法では、「属地主義」「積極的属人主義」「保護主義」「消極的属人主義」「普遍主義」という原則が認められ、日本の法令が外国における行為に適用される。また、外国の法令も日本国内の行為に適用される。

 以上のように、本書は外国法の域外適用について、すべての日本企業が知っておくべき知識を基本から応用まで網羅的に提示してくれる。「すべての」とは、一切海外事業を行わない企業も含まれる。外国法の域外適用とは、「表面上は、外国企業と関わりがないように見える国内の企業活動にも、外国法が適用され、現実に執行される場合があること」ともいえるからだ。

 構成は、序論に加え、第一章「独占禁止法」から第六章「民事手続」までとなっている。日本にとって域外適用される証券法、税法、独禁法、贈収賄規制法の各法令や刑事手続、行政手続、民事手続の各実務手続においても、米国、英国、EU、中国といった各国別、法令別に詳しい解説が施されている。読者にとって、同じ法律をそれぞれの国ごとに概観し、比較しやすい形式となっている。

 アンダーソン・毛利・友常法律事務所をはじめ、各法域における国内外の専門家が結集した非常に密度の濃い渾身の一冊といえる。

 あなたも本書を読み、「知らないうちに法令違反!!」に備えよう。

(AJ編集部・鈴木理詞)