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「すごいカネを持ってきた」「返す役を海部にさせた」三木元首相が秘書に明かした政治とカネ

奥山 俊宏

 自民党幹事長として石橋湛山政権、岸信介政権、佐藤栄作政権の発足を支え、みずからも外相や首相を歴任した故・三木武夫氏が生前、「とにかくみんなすごい金をおれのところに持ってきたよ」と長年の秘書に語っていた。少数派閥の領袖として自民党総裁選びで三木氏がキャスティングボートを握る立場となることがあり、田中角栄氏ら有力政治家の側から三木氏のもとに「はした金」ではないカネが持ち込まれた、という。「返す役を海部にさせたから海部もいい勉強になったはずだがな」。のちに首相となる側近の海部俊樹氏に指示して田中氏側にカネを返した、とも三木氏は明かしている。明治大学政治経済学部の竹内桂助教がこれらを記録した秘書の日記やメモを分析して744ページの書籍にまとめ、11月14日、吉田書店から『三木武夫秘書備忘録』と題して出版した。

1964年の総裁選

 三木氏 「田中はこんな大きな段ボール箱に入れて金を持って来た」

 岩野氏 「先生は金で動かれる政治家でないことを田中も佐藤も分からなかったんですかね」

 三木氏 「政治に金がかかるから大きな金を積めば誰でも変わると思ったんだろう」

 三木氏の秘書を長年務め

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