メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

大相撲は日本の映し鏡。清濁の正確な理解を

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

 近年、大相撲に関わる事件が、次々とネガティブな報道で明らかにされている。プロスポーツ興行としてイメージダウンであることは間違いなく、入門しようとする新弟子本人及び親をも躊躇させる事態を招いていると思われる。刑事事件の逮捕者も出て、論説上は救いようのない点もあるが、相撲の歴史に多少精通する立場から、報道や風評では取り上げられない観点をあえて提示しておきたい。

 

 興行ビジネスとしての大相撲は、現在の法体系が何もなかった時代から、江戸を拠点に活動する、最大規模の相撲興行「協同組合」であった。力士や相撲部屋(親方)は大名や豪商の資金援助を受け、親方の個人資産でまかなう相撲部屋ごとやその合同で行っていた巡業では、地域の利益代表(大名から任侠筋まで)からの支援の見返りとして収益を配分していた。そして親方たちが各相撲部屋を率いて江戸に集まった協同組合である「相撲会所」が、江戸幕府から都度許諾を得て興行を行っていた。この形での実質的な運営を21世紀の現代まで続けていて、それが最も合理的な方法だから続けていると、現代の財団法人運営の法制度と照らして批判の対象となっている、というのが興行上の問題の本質である。

・・・ログインして読む
(残り:約1189文字/本文:約1699文字)