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三井事件の検証抜きに検察の再生はない

西岡研介

西岡研介 フリーランスライター

大阪地検特捜部による証拠改ざん事件を受け、柳田稔法相が設置を表明した第三者機関「検察の在り方検討会議」が近く発足する。ここでは大阪、名古屋両地検特捜部の解体をも視野に入れた組織見直しも検討されるとのことだが、この会議が本気で「検察組織や、特捜部の捜査が抱える問題を幅広く議論する」というならば、だ。今回の「検察史上最大の不祥事」を引き起こした大阪地検特捜部によって8年前に逮捕、起訴された元大阪高検公安部長の三井環氏を参考人として招致し、意見聴取してみてはどうだろうか。

 三井氏は2002年4月、法務・検察組織の裏ガネともいうべき「調査活動費」(以下、「調活費」と略)の実態を、メディアに実名で告発しようとしていたまさにその日に、電磁的公正証書原本不実記録や、それに伴う詐欺などの容疑で「共犯」の暴力団幹部らとともに大阪地検特捜部に逮捕された。

 調活費とは、表向き「事件の調査、情報の収集等の調査活動に要する経費」(法務省)とされており、無論、その原資は国民の税金だ。ところがこの調活費は、長年にわたって検察の裏ガネとしてプールされ、検事総長をはじめ、各高検の検事長、各地検の検事正ら検察上層部の、料亭や高級クラブでの飲食費やゴルフなどの遊興費に流用されてきた。

 調活費を使った裏ガネ作りの手口は、各地検や高検の事務局長や公安事務課長らが架空の「情報提供者」をでっちあげ、その情報提供者に対し、1件につき3~5万円の謝礼を支払った形にして領収証を偽造し、その金をプールする――というものだ。そうして貯め込んだ調活費のほとんど全てが前述の通り、検察幹部の飲食・遊興費などに使われていたのである。

 ちなみにピーク時の98年度で、最高検には年間約4000万円、東京や大阪など各高検には約1000~2000万円、各地検には約400万円から800万円もの調活費が支給され、法務・検察全体でみれば、当時の大蔵省(現財務省)から5億9740万円にのぼる予算が配分されていた。

 もちろん、この調活費を使った裏ガネ作りは「虚偽公文書作成・同行使」や「詐欺」、そして、その流用は「横領」などの犯罪に該当する。つまりは法を司る検察自身が、自らの欲望のために法を犯し、国民の血税を喰いモノにしてきたわけである。

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