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大甘体質脱却へ、組織改革と監視強化を

松瀬学

松瀬学 ノンフィクションライター

相撲の歴史で最大の汚点である。もう土俵際、いや土俵から足が出てしまった。これまでくさいものに蓋をしてきた大甘体質ゆえの『八百長事件』発覚だから、前近代的な日本相撲協会のシステムを変えなければ真相究明は極めて困難だろう。

 目下、日本相撲協会の特別調査委員会(座長=伊藤滋・早大特命教授)が、十両以上の全関取の聞き取り調査を実施している。よくよく考えれば、特別調査委員会の権限も立場も不明瞭である。警視庁や司法機関と違い、強制力はない。理事会から調査を丸投げされ、任意で、携帯電話や通帳持参を求めている。

 この類の不祥事の場合、組織の規則に従って、作業は厳格、かつ公平に進めなければならない。その上での懲罰だろう。まずは特別調査委員会の根拠規定と権限を文書化し、手続きをきちんと開示する必要があるのではないか。「国技の存亡がかかっている事態で、応じないということはありえない」との調査委の見解もまた、楽観的過ぎるであろう。

 今回の八百長事件を簡単に整理すると、「得」をしてきたのが幕下陥落を免れた八百長力士と金をもらった力士、反対に「損」をしたのが相撲ファンとガチンコ勝負をしてきた力士たちとなる。なぜ、相撲ファンが怒っているかと言うと、日本相撲協会と八百長力士に裏切られたからである。

 即ち、ウソをつかれた。これまで何度も八百長疑惑が表面化したけれども、相撲協会は事実無根として否定してきた。告発した週刊誌をどう喝的な法廷闘争に持ち込むばかりで、ろくに調査はしてこなかった。監督官庁の文部科学省もナアナアに済ませてきた。

 自戒を込めていえば、

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