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震災が明かした、ウェブメディアのあやうさ

小関悠

小関悠 小関悠(三菱総合研究所情報技術研究センター研究員)

 ここ数年、ブログやTwitter、Facebookといったウェブメディアがずいぶんと喧伝されてきた。テレビや雑誌といった従来のマスメディアとは異なり、ウェブメディアは個人が気軽に情報を発信し、共有できるという特長がある。筆者もそうしたウェブメディアの専門家として、ブログやTwitterなどが社会に果たす役割を期待してきたつもりだ。しかし先月の震災においては、ウェブメディアからはたくさんの情報が発信されたものの、情報共有という点ではあまり健全に機能しなかったのではないか。

 今回発生した大地震や原子力発電所の事故などは、一般の人々が予想せぬ出来事であり、知見のある人は少ない。こうした状況においては、一般人のパニックがそのままウェブメディアに伝染してしまいがちだ。たとえばTwitterでは今も様々なデマが繰り返し話題になっており、収束する気配が見えない。またパニックによって無価値な情報が多く発信されたために、被災地からの情報など本来ならば優先して共有すべき情報を探すのが極めて難しい状況が続いている。さらに言えば、これからのインターネットはケータイやスマートフォンなどのモバイル端末が中心的役割を担うと言われるなか、地震の時にまっ先に使えなくなったのがモバイル端末であった。

 もっとも、こうした問題をすべてウェブメディア特有のものとするのは酷であろう。地震直後はテレビや新聞でも情報が大いに錯綜していたし、想定外の事態が連続する中では専門家と呼ばれる人達でさえ、なかなか分かりやすいコメントを提供できずにいる。キャッチーだが誤解を招くような情報が騒動を巻き起こしているのは、マスメディアでもウェブメディアでも見られることだ。その一方、

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