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プロリーグの「仕事」は被災地にまだある

倉沢鉄也

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

被災地で受け取るスポーツの姿は、被災地の方々の思いと行動がすべてであり、東京から論じることに意味があるのか自問自答しつつ、被災地復興に果たすスポーツの役割を整理してみる。これは、多岐にわたる論点を絞り込まねばならない。

 まず、「被災地で、やる」スポーツは、もちろん施設の復旧も重要だが、これはエコノミー症候群対策など健康・医療の専門的見解があろう。野球のキャッチボールひとつで大いに気分転換できることもあろう。これは割愛する。

 次に、「見て盛り上がる」スポーツについては、放映や現地無料観戦を通じて、元気づけにはなっていることは間違いないだろう。これはどのスポーツでも貢献できることであり、個人的にはそれがスポーツの果たす役割のすべてだとも思うが、ことスポーツビジネスがなしうる被災地への経済的な貢献ということだと、たとえばゴルフやスケートのような個人競技は、地元チャリティーマッチ以外は、どうしても結びつきにくい。また地元チャリティーという点では、大相撲やプロレスなど興行団体の慰問も重要な存在だが、一過性のイベントであり、地域への経済的貢献という点ではこれも限界がある。ビジネスと士気高揚の両面で期待したいのは、やはり団体競技の地元チームの奮戦、願わくば活躍、ということになろう。具体的には野球、サッカー、ほかプロスポーツの団体競技に論点を絞る。

 不謹慎を承知で被災地のスポーツビジネスを語ると、いわば地元にお金の落ちる、即戦力の地産品である。具体的には、観戦チケット収入、テレビやネットの放映権収入、スタジアムやユニフォームなどの広告収入、グッズ収入、スタジアム内飲食、までがチームに関わる収入となり、場外での関連飲食や交通の収入が地域経済に直接落ちる収入、以上が主な項目である。チームとしての主な支出は、興行の施設と運営、選手ほかの給与、販売促進費、そしてスポーツリーグによって違うが「リーグ振興のための、リーグ内再分配金」となる。

 乱暴に考えれば、

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