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「脱検索」を模索するグーグル

小関悠

小関悠 小関悠(三菱総合研究所情報技術研究センター研究員)

今日までのインターネットビジネスにおける覇権争いを大局的に捉えたいなら、「情報の入口」をめぐる戦いと考えれば分かりやすい。つまりインターネットを利用するとき、どこからどのように情報を入手するか、この点を巡って多くの企業が凌ぎを削ってきたのだ。

 かつて情報の入口はヤフーをはじめとするポータルサイトだった。そこには多種多様な情報が掲載されており、ユーザはリンクを辿ってめぼしい情報を探した。しかしインターネットの情報が爆発的に増加し、ポータルサイトでは整理しきれなくなると、かわって検索エンジンが情報の入口としての役割を果たすようになった。新しい覇者はグーグルであり、同社は検索エンジンに表示する広告から莫大な収益を得ている。

 ヤフーやグーグルといった入口を利用するためのソフトウェアも重要だ。ネットスケープの流行からはじまったインターネットブラウザ争いは、マイクロソフトがウィンドウズと統合したインターネット・エクスプローラーを展開して一気にシェアを高めたが、いまはオープンソースのFirefoxやグーグルのChromeといった、新機能の導入に意欲的な挑戦者から苦しめられている。他方、モバイルが新たな情報の入口になると睨んだアップルは、iPhoneを世界的にヒットさせ、最重要IT企業のひとつに躍進した。グーグルがAndroidを展開するのも、それが情報の入口となるからだ。

 情報の入口を押さえることはとても重要だ。大勢が同じ入口を利用するようになれば、そこに広告を表示することもできるし、連携する他サービスへ誘導することもできる。グーグルは先月発表した四半期決算で、過去最高となる90億ドル強の売上を記録したが、その大半はグーグル自身が提供するウェブサービス上の広告から得ている。

 ところが、情報の入口は

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