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ナベツネ終焉とGMの非力を露呈の巨人内紛

松瀬学

松瀬学 ノンフィクションライター

今さらながら、プロ野球の読売巨人軍は身勝手な球団である。日本シリーズの最中、「子どものけんか」のごとき、内輪もめで世間を騒がす。お家騒動といえば、阪神の十八番だったけれど、巨人の場合、親会社がメディアだから、よけいタチが悪い。

 ワンマンのナベツネさん、即ち読売グループの最高権力者の渡辺恒雄・球団会長も、清武英利球団代表兼ゼネラルマネジャー(GM)にも、「プロ野球のため」という発想が欠けている。要は、八十五歳と六十一歳のメンツをかけた醜い権力闘争である。正直、メディアもほっとけばいいのに、と思うのだが。

 そもそも、なぜ清武代表が霞が関の文部科学省で記者会見を開いたのか。変だと思う。新聞社出身だから、記者クラブにコネもあれば、メディアの利用の仕方も熟知していたのだろう。いま、話題の「コンプライアンス」という言葉で記者をかき集め、渡辺氏に不意打ちのパンチを繰り出した。

 つまるところ私憤じゃないのか。コーチ人事に端を発した内紛を暴露し、渡辺会長の不当な「鶴の一声」を糾弾した。桃井恒和オーナーの存在は無視された。チームを強くするため、という論理は、巨人ファンでない人たちや球界全体には関係ない。おそらくこれまでの強権的な渡辺会長の手法に不満がたまりつづけ、それが自身の降格人事で爆発したに過ぎないのではないのか。

 渡辺会長のワンマンぶりは周知の事実である。「老害」だとは思うけれど、

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