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橋下氏の出馬なしにあり得ぬ「大戦」

前田史郎

前田史郎 朝日新聞論説委員

会場のホールはむせかえるような熱気に包まれていた。現役サラリーマンから大企業の元社員、飲食店を経営する女性まで……。受付前に幾筋もの列ができる。

 3月24日、大阪市内で開かれた大阪維新の会「維新政治塾」の開講式は、午前と午後に分けて約1000人ずつ行われた。

 冒頭、全員に起立を求め、君が代斉唱が始まる。その後、同会代表で塾長の橋下徹・大阪市長が壇上に上がり、頭上の日の丸に向かって深々とお辞儀した。

 記念すべき最初の演説は約20分におよんだ。

 「日本のかたちを本気で変えるために大勝負をやらなければならない。来るべき大いくさに備えて準備していこう」

 時おり怒るような口調は昨秋のダブル選での演説を思わせ、気合の入りようが見てとれる。

 年明けに募集した時に想定していた塾の定員は400人だった。それをはるかに超える応募者3326人から1次選考で残った2025人がこの日、招請された。

 塾は次期衆院選で200議席の確保を目指す維新が、候補者を選ぶ場ともなる。が、この日、維新幹部は「あなたたちはまだ塾生ではなく受講生だ」と強調した。

 5月までに5回の講義を受け、公約案「維新八策」を論議し、街頭演説も実践する。資格ありとみなされた約1000人が晴れて塾生となる。

 与えられた課題を覚えるのではなく、自分で日本の将来を考え、答を出せる人物だけが維新候補者の足がかりをつかめる。競争を重視し、「自立する個人」をかかげる橋下氏らしいシステムだ。

 「合わないと思う人は去ってください」。同氏の突き放したような言葉は、選考の最終責任者として覚悟を求めたといえる。

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 実際、維新は国政でどれくらいの議席をとれるのか。

 6月選挙なら100人の候補者で

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