松瀬学
2013年01月30日
なんと言っても「ゲームスピード」が格段に上がっている。プレーオフ決勝のサントリー×東芝はともに持ち味を出し切り、ボールがめまぐるしく動いた。とくに『超攻撃ラグビー』を掲げるサントリーは素早いリズムでパスをつないで、果敢にフェーズ(局面)を重ねていった。その際の意思統一とブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)の強さ、パスプレーの精度は称賛に値する。
度重なるルール改正もあり、世界のラグビーはよりテンポアップしていく傾向にある。決勝の笛を吹いた平林泰三レフリーの分析によると、自身が担当したTL(トップリーグ)の試合のボールリサイクルスピード平均が「3秒ちょうど」だったという。リサイクルスピードとは、タックルが起きてからボールが出るまでの時間を指す。ニュージーランドや豪州、南アフリカなどの南半球のテストマッチ(国別対抗戦)が平均で「3・7秒」、イングランド代表の試合のそれが「4・2秒」というから、TLのスピード、テンポは相当はやいことになる。
日本代表の強化にはトップリーグの充実が不可欠と、サントリーの大久保直弥監督は説明する。「(世界で戦うためには)とにかくボールをはやく動かしていく。そのためには人がはやく動かないといけない。(接点での)フィジカル勝負でも勝たないといけない」
パスをつないで攻め続けるためには、強じんな肉体(フィジカル)と体力がいる。つまり「ストレングス」、実践的なからだの強さ・パワーである。サントリーや東芝ほか、パナソニック、神戸製鋼も、プレーオフ(ベスト4)に勝ち残ったチームはどこも、ストレングス強化に努めてきた。裏を返せば、そこが弱いと上にはいけないのである。
リーグのMVPに輝いたジョージ・スミス(サントリー)はかつて豪州代表で110キャップ(国別代表戦出場数)を誇る。そのスミスが「TLのレベルは高い」と言う。ラグビーはまず接点勝負。ここでのぶつかり合い、ブレイクダウンでの技術、力強さも年々、アップしており、日本代表ロックの大野均(東芝)は「テストマッチで海外のチームとやっても、TLとの圧力差はあまり感じない」と言い切るまでになった。
TLのレベルアップの証左として、パナソニックのSH田中史朗、フッカー堀江翔太、東芝のFLマイケル・リーチの3人が世界最高峰のスーパー・ラグビーのクラブに移籍することになった。日本からは初めてのことだ。
なぜ、TL選手のストレングスが上がったかのというと、日本代表の水準が上がったからである。エディー・ジョーンズヘッドコーチは「世界一の
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