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[3]男子SP

表現者・高橋大輔は充実期を迎えている

青嶋ひろの フリーライター

 今年はオリンピック前の世界選手権、ドラマが起こるかもしれないよ――。

 そんな予言を1月にしたのは、当の高橋大輔だった。

 オリンピックに向けて、じっくり仕込みができる最後の年。様々なアクションを起こした選手たちの一年の成果が、きっと世界選手権では見られるはずだから。そんな意味を込めての予言だったが、初っ端の男子シングル、ここまで様々なことが起きてしまうとは、彼は考えていただろうか。

 大舞台でなかなか結果を出せずにいた選手たち――昨季12位のケビン・レイノルズ(カナダ)と同7位デニス・テン(カザフスタン)のスモールメダル獲得(ショートプログラム3位までの選手に授与される)。グランプリシリーズなど試運転にすぎなかったというように、やすやすとパトリック・チャン(カナダ)が出した世界最高得点。そして、シーズン前半、破竹の勢いを誇ってきた日本男子勢の、まさかの順位。

 まず、一見クリーンに滑り切ったものの、4回転と3-3のコンビネーションジャンプが回転不足で大幅に減点、4位どまりだった高橋大輔。しかし公式練習での不調ぶりを考えれば、よく滑り切ったようにも見えた。

SPの演技をする高橋大輔

 「4回転以外のジャンプは、それほど調子が悪くなかったんです。でもどうしても4回転が上がらなくて、他のジャンプも引きずられるように調子を落としてしまった……。始まる前は、気持ちの面でも落ちていたかもしれないです」

 全日本選手権まで、クリーンで確実な4回転を見せていた彼が、なぜシーズン後半、ジャンプの精度を失ってしまったのか。

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