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サッカー日本代表、停滞感を見誤るな

潮智史 朝日新聞編集委員

 サッカーの日本代表チームが欧州遠征を2連敗で終えた。セルビアに0―2、ベラルーシに0―1と無得点に終わったのはさみしい話だ。

 対戦した両国はいずれも欧州では中堅国といったランクにある。来年のワールドカップ(W杯)ブラジル大会は欧州予選で敗退がすでに決まっている。なおさら、ザッケローニ監督への批判を含んだ、心配の声があがるのは仕方ないところだろう。

 それでも、メディアを含めた周囲の反応には違和感を持つ。コンフェデレーションズカップで大量失点をすれば、守備の立て直しが急務だといい、今回の2連戦では攻撃力不足が露呈したと極端に針が振れる。もっともよくないのは周囲の空気にチームや選手が惑わされ、一体感を失うことだ。

 ザッケローニ監督は「アジアを出ると自分たちの戦いができなくなる。実際にアジアの内と外とで内容に差が出てしまうことについては、私の責任だと思う」と話している。選手の間では、現実を見据えて守備を重視したチームづくりや戦い方を選択したほうがいいといった声も出始めた。

 停滞感があることは間違いないが、いずれもどうも事を大げさにしすぎていないか。あるいは、現実を見誤っていないだろうか。

 W杯最終予選を終えてから、日本が対戦してきた相手は力のあるチームばかりだ。W杯アジア予選のように、常に自分たちがやりたいことをできる相手ではなくなっている。それは、たくさん作れていた得点機の数が急に減っていることを見ても明らかだ。

 加えて、今回の欧州遠征では、香川、岡崎といった攻撃にアクセントを加えていた選手が精彩を欠いた。欧州の所属クラブで新しいシーズンを迎えた中、出場時間を確保できていないため、コンディションや試合勘が鈍っていることが共通している。

 これらの点から考えても、日本が苦戦するのはごく当たり前のことだと受けとめていいだろう。

 むしろ気になるのは、

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