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山口組ナンバー2はなぜ上告を取り下げたのか

西岡研介 フリーランスライター

 京都の「建設業界団体幹部」から、みかじめ料(用心棒代)として計4000万円を脅し取ったとして、恐喝罪に問われていた六代目山口組若頭(ナンバー2)で、三代目弘道会総裁の高山清司被告が先月末、最高裁への上告を取り下げた。これで被告に懲役6年の実刑を言い渡した一、二審判決が確定し、高山被告は近く収監される。

 この高山被告の上告取り下げを巡っては、捜査当局や山口組内部でも様々な見方があるが、私は高山被告自身と、彼の弁護団を含む“周辺”が、極めて現実的な判断を下したと考えている。

 その理由は三つ、ある。

 そもそも、元弘道会直参(直系組長)で、09年に六代目山口組の直参となった淡海一家総長らによる恐喝事件に端を発した高山被告の逮捕は、同年から警察庁が掲げてきた「弘道会壊滅作戦」、いわば“国策捜査”の一環だった。国策である限り、最高裁が原判決を破棄する可能性は極めて低く、遅かれ早かれ収監は免れ得ないと判断したのだろう。

 二つめは六代目山口組における「ポスト高山体制」への“条件整備”に目途がついたことだ。

 高山被告は13年10月、「次期若頭」、さらには「七代目組長の最有力候補」と目される竹内照明・三代目弘道会会長を山口組の直参に昇格させた。

 竹内組長は、高山被告が二代目弘道会会長時代に若頭を務め、被告が興した高山組の二代目を継承。さらには弘道会の三代目も継いだ高山被告の「子分中の子分」(山口組関係者)と言われている人物だ。

 山口組内部では、高山被告が既に、この竹内組長を「若頭補佐など、(六代目山口組)執行部に入れる道筋をつけた」(同前)とみられている。が、これは高山被告の親分で、

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