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ソーラーが教えること(上)・発起人が語る太陽光フェス

田中敏恵 文筆家

 今やすっかり市民権を得たフェス。世界中からアーティストが集うものから、町おこしとして自治体がリードするものまで、形態も多彩だ。夏が終わると、その開催頻度も一段落といったところだが、これから最もユニークかつ注目すべきファスが控えているのをご存知だろうか。9月27、28日に岐阜県で行われる、中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014である。“SOLAR(ソーラー)”と銘打っていることからもわかるように、これは太陽光発電のエネルギーで行われる野外ロックフェスなのだ。

 このフェスの発起人が、ミュージシャンの佐藤タイジである。1995年にシアターブルックのヴォーカル&ギターとしてメジャーデビューした彼は、3・11以降、音楽をキーワードに多様で積極的な活動を行っている。震災復興支援を目的としたライブフォーニッポンの毎月開催、ファーストアルバムがリリースされたばかりのユニット・インディーズ電力の結成、ソーラーレコーディングプロジェクト、そして東京・日本武道館での太陽光発電によるライブTHE SOLAR BUDOKAN……。

 THE SOLAR BUDOKANは2012年12月に、佐藤タイジ率いるシアターブルックをはじめ、多くのミュージシャンの賛同と参加で行われ、成功を収めた。その後ソーラーエネルギーで行われるライブは同名でシリーズ化。ちなみに中津川での野外フェスは昨年が初開催、今回は二度目となる。

 佐藤タイジは画期的なライブの発案者であるが、自身になにかコネクションがあるわけでもなく、全てが暗中模索で始まったという。

 「武道館をソーラーでやろうと思った時、ソーラー電力を蓄電池に貯めて演奏する、という構想だけはあったんです。しかしこの話を大手の企業に持っていっても、門前払いされていました。そんな中、一社提供でやらせてくれないか、という話がありました。けれど自分の中でこのソーラー武道館は、いろいろなサポーターが集まり、一致団結してやるイメージを持っていたんです。スター・ウォーズの同盟軍みたいに、ルーク・スカイウォーカーがいてレイア姫がいて、ハン・ソロもいるみたいな(笑)。他にも参加したい、と手を挙げてくる人たちも仲間に入れたいじゃないですか」

 構想はあった。しかし、同盟軍スタイルを結実させることはなかなか難しく、一社提供の話が流れてからは、協賛を取り付けることがなかなかできずに時間だけが過ぎていったという。そんな中、一筋の光明が見えた。

 「中央物産という企業から、サイトを経由して問い合わせがあったんです。当初は“どこそれ?”という感じだったんですが、とてもきちんとした方々で、一緒にやることになりました。そこからコネクションが広がって、結果的にソーラー武道館は同盟軍スタイルで出来たんです。その打ち上げの時に、今度は中央物産さんの本社のある中津川でやりましょう、ということになった。ここは、音楽業界の間では中津川フォークジャンボリーという、伝説のフェスの開催地として知られている場所なんです」

 中津川フォークジャンボリーは、1969年にあのウッドストックの1週間前に開催された、日本初の野外フェスである。

 「中津川で開催することになった縁から、

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