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攻守の力をバランスよく整えたガンバ大阪の3冠

奇策なき練習とトレーニングの積み重ね、ぶれなかった長谷川監督

潮智史 朝日新聞編集委員

天皇杯の優勝を決めて喜ぶガンバ大阪の今野(15)=12月13日、日産スタジアム天皇杯の優勝を決めて喜ぶガンバ大阪の今野(15)=12月13日、日産スタジアム
 Jリーグを頂点としたトップチームによる2014年シーズンは、ガンバ大阪の3冠達成で幕を閉じた。1993年のプロ化以降、Jリーグ、ナビスコカップ、天皇杯全日本選手権の3冠独占は2000年に鹿島が成し遂げているが、J2(Jリーグ2部)からの昇格1年目にしての3タイトルは初めてのことになる。

 Jリーグのレベル低下を理由に、ガ大阪の偉業にケチをつける気にはならない。周囲のふがいなさは批判されるべきだろうが、ガ大阪自体は長いシーズンの曲折のなかで、質の高いサッカーを見せたきた。

 長谷川健太監督はJ2に降格した昨年から指揮を執っての2年目。就任当時にすでに「J1で優勝する力がある」と冷静に見ていたことを明かしている。降格しても選手の流出を抑えて戦力を維持したことが3冠につながったが、もともとあった攻撃力を生かしつつ、欠陥を抱えていた守備をひとつひとつ丁寧に立て直した。

 大きかったのは、ワールドカップの開催に合わせて6月から7月にかけて約1カ月の中断期間がある特殊なシーズンだったことがある。

 開幕ダッシュにつまずき、中断前は降格圏内の16位と低迷していた。その直後の中断期間で、体を休ませた上で、キャンプでじっくりとチームづくりを進めた。

 特別に新しいことを持ち出したわけではなく、前から相手を追ってプレッシャーをかける守りとある程度下がって自陣にブロックをつくって相手を待ち受ける守りなどの使い分けをしながら、攻撃の精度を高めた。長谷川監督は「自分たちのやろうとしたサッカーを

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