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[3]底力を示す「ファンタジー・オン・アイス」

青嶋ひろの フリーライター

 このオフシーズンは全国4都市(幕張、静岡、金沢、神戸)で、計12公演開催。どの会場も大入り満員で、12公演の総観客数6万。日本、いやおそらく世界屈指の観客動員を誇るアイスショーが「ファンタジー・オン・アイス」(企画制作CIC)だ。

 元となる公演は2002年の「フィリップ・キャンデロロ・ファンタジー・オン・アイス」。

 その後、スタイルや名称の変遷を経てきたが、スケートブームの始まるずっと以前から海外の名スケーターを日本で見る機会を提供し続け、コアなファンを喜ばせてきたショーである。長い歴史のなかで培われたものは大きく、4つのショーのうち、最も作り手がプロフェッショナルなショー、と言えるだろう。

ファンタジー・オン・アイス」 /静岡県「ファンタジー・オン・アイス」 の羽生結弦=2014年、静岡県
 これだけフィギュアスケート人気が高まると、メジャーなスケーターを集め、順番に滑らせさえすれば、ある程度興行収入を得ることはできる。

 今シーズンオフは幸い遭遇しなかったが、稀にスケーターの人気頼みで演出など何もされていない、アバウトなショーを見ることもある。それでは、世界一流の演技を見せてくれるスケーターたちにも失礼だろう。

 リンク設営、照明、音響、オープニングやフィナーレの演出などが華やかで、コンセプチュアルで、「こんな舞台に立ててうれしい」「この舞台にふさわしい演技をしたい」、そう感じさせることができれば、スケーターたちの演技も輝きを増す。

 その点で「ファンタジー・オン・アイス」は手抜かりがなく、どの公演も安心してスケーターたちの生き生きした姿を見ることができる。

 ある競技スケーターが、「今年は練習時間を多く取りたいから、ショーの数を減らさなくちゃいけない。でも、ファンタジーだけは出たかった」と語ったこともある、そんなショーだ。

スケートと音楽のコラボレーション

 また「ファンタジー・オン・アイス」最大の特色は、メインの出演者が

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