日経は夜回りを見直し、TBSテレビは派遣社員など人員を増加
2017年11月17日
長時間労働がかねて指摘されてきたマスコミ各社が、残業削減の本格的な取り組みを始めている。取材先の自宅を訪ねる夜回りのあり方を見直したり、残業禁止日を設けたり、契約社員を増やしたり。電通の違法残業事件で、東京簡裁は10月6日、法人の電通に対し罰金50万円の有罪判決を言い渡したが、労使間で新たな取り決めに踏み切る企業が急増している。
「『新聞社なら長時間労働は当たり前』という時代は終わった」。2月に日本経済新聞社編集局が打ち出した働き方改革行動計画「スマートジャーナリズム」はこう始まる。「全編集局員が毎月の残業80時間以下を目指す」「1人の記者に同じ日に朝回りと夜回りの両方はさせない」など、数値目標や具体的な取り決めが示された。
重要案件のヤマ場取材などでは例外が設けられているが、同社では、局ごとの平均残業時間を前年比10%削減の方針を決めたという。
関係者によると、会社は労組に対する説明で、「携帯電話が普及するまでは独自取材するには夜回りしかなかったが、いまは違う」「ただ来たからといって評価する取材先は減っている」と発言したという。
6月に発行された社内報では、岡田直敏社長が経営説明会で語った「ネット時代の進展や女性の社会進出など、大きな時代の変化に合わせて、働き方は見直していかなければなりません」「いい人材を集めるには、若い人たちがここで働きたい、と思う会社にならなくてはなりません」という発言が紹介された。
日本経済新聞社広報室は「言論・報道機関としての使命を果たすうえで、多彩な人材が活躍できる環境づくりは重要であり、そのために働き方改革を進めています」と話している。
同社のある中堅記者は「人材確保のために魅力ある企業をめざす会社の姿勢は本気のようだ。出勤簿をつけるのは毎月1回だけだったが、4月からは帰る前に毎日、勤務時間を記入している」と言う。
山陽新聞社(岡山市)は終業から始業までに11時間の休息を保障する「勤務間インターバル」を4月から試験的に始めたところ、導入から2~3カ月間を見ると、予想以上に守られているという。
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