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AV業界とはいかなる業界なのか(下)

登録されたAV女優数は2000人足らず、年間で24000タイトル

河合幹雄 桐蔭横浜大学法学部教授(法社会学)

 基本的な状況を知るために2017年7月にアンケート調査を実施した。結果は10月に記者発表しているが、枠組みができて新たな参加者も多数加わった状況で18年夏に第2回アンケートを実施すれば、業界の大まかな状況が明らかにできると考えている。

  噂ベースだとAV女優の数は5000などといわれていたが、現在、我々が全員の名前を登録する仕組みを作った結果、登録女優数は2000にも満たない。会社数も、メーカー1000社などという噂とは異なりIPPAと日本映像ソフト制作・販売倫理機構(略称・制販倫、JVPS)を合わせても242社、年間制作タイトル数は約24000である。プロダクションも噂では200社だが、現在加盟手続き中も含めて六十数社である。これらでシェアなら9割を占めていると推測している。

  業界の人々がどういう人たちかと言えば、多くの人たちの想像からは大きく異なるのではないかと思う。まだ多少ともイメージすることができる芸能界と比較して、それを問題を多くしたというイメージを持たれているとすれば大きな勘違いである。

  確かに業務は芸能界と近いどころか写真集など重なる部分もあるが、ある意味反対の性格である。芸能界は、どちらかというと政治的に右派だが、AV業界は左派である。ピンク映画の後継なのだし、表現の自由を主張する人々が右派のわけはない。もちろん例外も多いし、21世紀にはいってからは政治的には無関心派が多数なのはいずこも同じである。芸能界は派手好き目立ちたがりだが、AV業界人は、大人しく目立つことを好まない。目立つのは女優だけで業界スタッフは裏方である。

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