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改ざん翌日に「問題ない」と話した財務省中村課長

森友問題の核心は安倍昭恵氏 事実を隠そうとする財務省報告書と大阪地検不起訴処分

前田史郎 朝日新聞論説委員

 あまりの自信たっぷりな態度に拍子抜けした。

 「何の問題もありません」

 昨年2月27日、財務省の中村稔・理財局総務課長に電話取材したときだ。

衆院予算委員会で答弁する佐川宣寿・財務省理財局長(当時)=2017年3月2日衆院予算委員会で答弁する佐川宣寿・財務省理財局長(当時)=2017年3月2日
 学校法人・森友学園への土地売却に関する交渉記録等について、佐川宣寿・理財局長(当時)は「事案が終了したのでございません」と国会で述べていた。本当に廃棄したのか。根拠は何なのか。それを財務省の担当者から聞きたかった。

 中村課長は「(売却価格を)8億円さっぴいた、という理由がなんなのか、積算の前提も根拠も明らかにしている。何の問題もない」と電話口で話した。その口調には余裕すらあった。

 中村課長は主計局主計官や大臣秘書官も歴任している。財務官僚の本流を歩んできたのだろう。取材対応に慣れた雰囲気で、広報室長をしていたことがあると自ら語り、「今回の件は絶対大丈夫だから」と言う。

 しかし、財務省は国有地の売却価格を非公表にしていたのである。その理由を執拗に問うと、少し怒ったように「勝手なことを書くと、財研にもちこみますよ」と言った。

 財研とは、財務省内にある記者クラブ「財政研究会」のことだ。各社の経済部系記者が所属し、財務省にとっては気心の知れた相手なのかもしれない。問題があれば報じるのは、クラブ所属かどうかなど関係ない。財研の記者を身内のように思っているのだろうか。

 あれから約1年3カ月。中村課長には、停職1カ月の処分がくだされた。

 電話取材の前日の昨年2月26日、理財局は決裁文書を改ざんしていた。改ざんの「中核的役割を担った」と認定されたのが中村課長だった。

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