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万博誘致で大阪は当確? カジノ誘致3枠は大激戦

万博とカジノがセットだった夢洲の開発 不確定要素はギャンブル反対の声

前田史郎 朝日新聞論説委員

2025年の万博開催を決めた博覧会国際事務局(BIE)総会の会場に現れたハローキティ=2018年11月23日、パリ
 2025年万博の開催地が大阪に決まった。カジノを含む統合型リゾート(IR)施設の誘致でも、大阪は大きな「武器」を得たことになる。だが、カジノができる3カ所の行方は、まだ混沌としている。人とカネを集める魅力をいかにして売り込むのか。カジノ事業者の思惑もからんだ誘致合戦が本格化しはじめた。

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 「これでIR誘致にはずみがつく」。万博開催について、大阪府の職員は言った。

 大阪湾に突き出た広大な埋め立て地・夢洲(ゆめしま)の開発は、もともと万博とIRがセットでないと難しい。大阪府・市にとって招致成功は大きな前進といえる。IRは万博前年の24年の開業をめざす。IR推進法ができる前から名乗りをあげ、カジノ実現へ着々と準備を進めてきた大阪は、これで「IRもほぼ当確」とさえ言われている。

 ただし、楽観が許される状況にはない。

 最大の不確定要素が、ギャンブル反対の声が今後、燃え上がる可能性が消えていないことだ。

 大阪では2000年代からカジノ誘致に動いているが、府民には、反対の方が圧倒的に多い。昨年3月に朝日新聞社と朝日放送(ABC)が実施した府民への世論調査によれば、IR誘致への「反対」が6割にのぼった。万博誘致への賛成が6割を占めたのと対照的だ。理由は「治安が悪化しそう」が最多の62%だった。政治と行政が前のめりで、府民は「笛吹けど踊らず」といっていい。

 ことし6月、「大阪カジノに反対する市民の会」が豊中市民らを中心に発足した。代表は「カジノ戦争」という本の著者、西澤信善・神戸大学名誉教授。会員数は、いま約230人だ。

 ビラ配りには、森友学園問題で逮捕、起訴された籠池諄子被告も駆けつけてカジノ反対を訴えた。
西澤さんは言う。「大阪でIR誘致の動きをストップできれば全国への波及を防げる。カジノは、大阪維新の会にとって命とりになる可能性がある」

 見据えるのは、来年の統一地方選、そして府知事選挙だ。維新が多数を占める大阪府議会、大阪市議会でカジノ推進派を減らし、いっきに反対の潮流を盛り上げたいところだ。

 IR候補地の選定では、都道府県、政令指定都市が、どんな施設をつくるかを盛り込んだ区域整備計画をつくって国に認定申請する流れとなる。計画をまとめるにあたっては地元の同意が必要で、議会の議決を経る必要がある。

 11月25日、パリから勇躍帰国した松井一郎知事と、吉村洋文市長。表情は明るいが、維新「創業者」の橋下徹氏が政界を引退した後、日本維新の会は先の総選挙で地盤の大阪の選挙区で苦戦するなど、かつての勢いはない。

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